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» 2016年01月25日 11時00分 公開

zenmono通信:富士通がオープンイノベーションに取り組む理由 (前編) (2/4)

[zenmono/MONOist]

オープン・サービス・イノベーション

柴崎氏 ここでご紹介したい図があります。これはスタンフォード大学のある先生が分析をされていたものなのですが、「時代が求めるイノベーション」と題して、横軸と縦軸の4象限で表現しています。横軸がマーケットリスクが低いか高いか、縦軸は実現・実行リスクが高いか低いかとなっています。われわれのようなITベンダーあるいは日本の多くのモノづくりの企業というのは、もしかしたら左の下の象限に集積しているのかなぁと思います。

時代が求めるイノベーションとは?

enmono リスクの低いところですね。

柴崎氏 そうですね。右下の所はApple製品が並んでおりますが、いわゆる枯れた技術の組み合わせでも新しい市場を開拓している。左上の象限にはジェット機の写真が出ていますが、ホンダさんがジェット機を飛ばしましたよね。これは2・4輪を得意とするホンダさんが10年がかりでジェット機を飛ばすという、その企業にとって非常にチャレンジングなことに取り組んだという意味を示しています。

 では、これからどういうところが重要になってくるかというと、この右上の象限なんですね。技術的にも新しく、市場としてもまだ開拓されていないところです。ここに「Square」という商品が出ております。スマートフォンやタブレットにモジュラーを挿しこむとカードで決済ができるというようなサービスです。このサービスはアメリカのTechShopというモノづくり工房から生まれたんですが、実はガラス吹き職人とTwitterの創業者の方が2人で考えだしたアイデアなんだそうです。

「Square(スクエア)」出典:Square

enmono すごいコラボ、すごい出会いですね。

柴崎氏 三木さんたちがやっていらっしゃるenmonoの活動は、そういったモノづくりの方々と、われわれのようなIT・ICT業界の方々をむすびつけて新しいことができるんじゃないかとひそかに期待しております。

 このように新しい領域の新しいビジネスに挑戦していく必要がある中で、自前主義を通していては続かない。「共創」を進めて、編む力でビジネスを強くする必要がある。自社だけでなく他社や個人もつなげていく必要があると思っています。

 考え方は、実はオープン・サービス・イノベーションと言うそうです。私は知らなかったんですけど、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校にヘンリー・チェスブロウという先生がいて、オープン・サービス・イノベーションについて本を出しています。それを読んで「ああ、自分たちがやっていることはこういうことなんだな」と感じました。それによれば4つのポイントがあります。

 1つ目は「強いサービスの中には必ず素晴らしいモノがある」ということ。「モノからコトへ」という言い方があると思うんですが、注意しなければならないのは、「モノの時代は完全におしまいで、コトの時代つまりサービスの時代になる」というわけではないことです。サービスの中にモノづくりの技術が生きている必要があると思っています。

 2つ目は「共創」です。英語では「Co-Creation」と言いますが、先ほどのAERAの言葉に置き換えれば「編む力」だと思います。そして3つ目は「オープン・イノベーション」。ビジネス・エコシステムという書き方をしていますが、自社・他企業・個人が織りなす生態系が必要だろうという話です。

 最後の4つ目が「ビジネスモデルの転換」です。モノを販売して得ていた対価=お金のやりとりが、サービスを提供する(される)という形に変わるかもしれませんし、さまざまなビジネスモデルが描けるようになるんじゃないかなと思います。

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