富士通がオープンイノベーションに取り組む理由 (前編)zenmono通信(3/4 ページ)

» 2016年01月25日 11時00分 公開
[zenmono/MONOist]

共創と七人の侍

柴崎氏 「共創」について考える前に、グループとチームの違いについて少し。あるコンサルの方がこんなことを言っていました。グループとチーム、一見似たような関係だと思えますが、実は異なるんです。(画面の)左側の部分に書いてあるグループのイメージを見てみると同じような髪形で、同じようなスーツを着てネクタイを締めて……と、ウチの会社なんかこういう感じですね。

グループとチームの違い

 チームのイメージは右側に書かれていますが、こちらはネクタイの人もいれば、ベレー帽かぶったデザイナーの方もいれば、女性もいるし、メカニックのような方もいらっしゃる。あるプロジェクトを起こそうとした時にグループとチームどちらが強いかなというと、間違いなく右側のチームの方が統制をとるのは大変なんですけど、火事場の馬鹿力じゃないですが、可能性があるのは間違いなくチームの方だと思います。

 ところで、三木さんは黒澤明監督の『七人の侍』をご覧になったことはありますか?

enmono え〜っと……昔見た記憶はあります。

柴崎氏 この七人の侍を「共創」を生みだすチームの例として見てみたいと思います。彼らは3つのグループから構成されています。まず1つ目のグループがリーダーの勘兵衛、サブリーダーの五郎兵衛、イエスマンの七郎次。リーダーおよびそれに従属する3人が1つ目のグループですね。

 それから2つ目が、混乱を引き起こすんですけど、才能のある2人。これはトリックスターと書いてありますが一番大きく出ている菊千代、それから一番右端にいます斬りこみ隊長・久蔵。この2人はチームをかき回すんですけど、非常に才能がある。

 それから3つ目は、非力な者だけど組織の未来をつなぐ2人です。ムードメーカーであったり、あるいは元服前の若者でまだ丁髷(ちょんまげ)になっていないですが、七人の侍の活躍を後世に伝える役、そんなような方々です。非常に多様な人物が集まったチームなんですが、こういう複合的なチームだとポテンシャルを発揮しやすいのだと思います。

7人の侍

 協業と共創、これはウチの会社の中で結構議論しまして、「柴崎、おまえの言っている共創は昔から言っている協業となにが違うんだ」「アライアンスがあるだろう」とこう言われるわけですけども、実は協業というのは利益や売り上げを企業がシェアする、金の切れ目が縁の切れ目ということがありがちなんです。

 でも共創というのはある目的に向かって「共通善」――世の中に対して善きことをしよう、ということですね。企業であったり個人であったり行政とか自治体の場合もあると思うんですけど、こういう方々が一致団結してやるのが共創の活動じゃないかという結論にわれわれはたどり着いています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.