デジタルツインを実現するCAEの真価

「実験ドリブンCAE」とは? ――効果的なCAE実践のポイントは解析と実験のバランスCAEイベントリポート(1/4 ページ)

実験とコンピュータシミュレーションによる解析コンサルティングを提供するエステックが、振動・騒音分野を中心とするCAE事例を紹介した。

» 2016年01月27日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 2015年11月11日、東京都品川区において、「ISID CAEフォーラム"Think CAE,2015"」と題したイベントが電通国際情報サービス(ISID)によって開催された。その中でエステック 技術部 部長の古本昌司氏が、「エステックの『実験ドリブンCAE』」と題して講演を行った。

 エステックはISIDのグループ会社で、実験とコンピュータシミュレーションを融合させながら、車両をはじめ機械、構造物などの動的問題の技術コンサルティングを提供する。

 日産自動車とI-DEASの開発元である米SDRCの出資からスタートしており、振動・騒音分野の技術者を多く擁する。とくに実験設備については、自動車1台が入る半無響室や加振実験室などを自前で所有しており、実験と解析の一元的な提案や受託が可能となっているという。技術領域については、振動・騒音、機構解析、実験解析、線形・非線形構造解析、熱変形・熱流れや電磁場解析などをカバーしている。

 古本氏は「効果的なCAEを実践するためには、解析と実験の役割をバランスさせることが重要」だと述べた。確認対象となる現象をモデル化するためには、まず実験によって現象のメカニズムを把握することが重要だ。よく分からないままモデル化すると、解析モデルがいたずらに大規模になり、計算時間がかかる割に目的とする結果が得られなくなってしまう。モデルを作成して計算する前には必ず実験による検証を行い、その検証データに基づいたパラメータスタディで設計改善、試作を進めるというサイクルを回していくことが重要になる。「シミュレーションと実験はCAEの両輪になる」(古本氏)。

シミュレーションと実験はCAEの両輪になる(出典:エステック)
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