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» 2016年01月28日 11時00分 公開

デトロイトショーで目立つ「売らんがため」の現実主義、「クルマの未来」姿なく2016 CES&デトロイトモーターショー2016レポート(後編)(4/4 ページ)

[桃田健史,MONOist]
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先行きが不透明な「プラトー」状態への回答は?

好景気で沸いたデトロイトショーの会場の様子 好景気で沸いたデトロイトショーの会場の様子。だが、来場者がワクワクドキドキするような「華やかさ」を感じることはできなかった 出典:デトロイトモーターショー2016公式Webサイト

 デトロイトショーの開幕前に発表された米国市場の2015年全体需要は、過去最高の1750万台を突破したという。サブプライムローンが社会問題となり、その後にリーマンショックを食らった2009年の1000万台割れギリギリのラインから、徐々に回復してやっとここまでたどり着いたのだ。

 こうした好景気なのだから、デトロイトショーの場内も、さぞかし「華やかな雰囲気が一杯!」と思いきや、前述のような「レギュレーションマッチング」の次世代車や、「売らんがため」のライトトラック/SUVと高級車が目立つだけで、来場者がワクワクドキドキするような「華やかさ」を感じることはできない。

 時計の針を少し戻せば、リーマンショック前の2000年代前半から中盤は、“ビッグ3”と呼ばれていたGM、フォード、Chrysler(クライスラー、当時)が競い合って、ド派手な演出で新車やコンセプトモデルの発表を行っていた。報道陣向けには、大型のモデルカーや衣料品などのお土産をばらまいていた。その背景には、ピックアップトラックとSUVで構成される“ライトトラック”部門の売り上げが急増していたことがある。デトロイトショーの現状は、そうした過去の“バカ騒ぎ”に対する反省があるのだろうか。

 デトロイトショーの報道陣向け公開日の2日目午後、ショー会場であるコボセンターのほど近く、GM本社があるルネッサンスセンター内では、米国大手メディアのAutomotive News(オートモーティブ・ニュース)による毎年恒例のカンファレンスが開催された。

 そこでは、Google(グーグル)の自動運転車向けとして新設された企業のCEOや、大手ティア1サプライヤであるカナダのMagna International(マグナ)のCEOらの講演が続いた。その中で最も印象深かったのが、全米最大のカーディーラーチェーンを展開するAutoNation(オートネーション)のCEOであるマイク・ジャクソン氏の言葉だ。

 「2015年の全需、1750万台は何んとも素晴らしい数字だ。だが、皆さんも既にお感じになっているように、2015年後半から市場の様子が変わってきた。2016年は明らかに、プラトー(plateau、台地)のような状況になるだろう。そうした中、自動車メーカー各社がどのような戦略を練るのだろうか? 私はまだ、各社から明確な回答をもらっていない」(ジャクソン氏)。

 2016年11月には大統領選挙が行なわれる米国。8年ぶりに新しい大統領執行部となる中で、“プラトー”状態の米国自動車市場に対して、新たなる施策が講じられるのだろうか。

 なお、デトロイトショー開催期間の後半、米国大統領のバラク・オバマ氏は、自身として初めてデトロイトショーの現場を視察している。

デトロイトショーを初めて視察した米国大統領のオバマ氏 デトロイトショーを初めて視察した米国大統領のオバマ氏 出典:デトロイトモーターショー2016公式Webサイト

筆者プロフィール

桃田 健史(ももた けんじ)

自動車産業ジャーナリスト。1962年東京生まれ。欧米先進国、新興国など世界各地で取材活動を行う。日経BP社、ダイヤモンド社などで自動車産業、自動車技術についての連載記事、自動車関連媒体で各種連載記事を執筆。またインディカーなどのレース参戦経験を基に日本テレビなどで自動車レース番組の解説も行う。


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