特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

品質保証の体制をIoTでカイゼンするトヨタ生産方式で考えるIoT活用(3)(3/4 ページ)

» 2016年01月28日 07時00分 公開

品質保証のあるべき姿

 ここまで紹介した課題を解決するために、品質保証を強化するには次の施策が有効です。

1.品質基準のデータベース化、部品構成表と製品、工程、品質特性情報の共有化

2.検査工程の自働化とリアルタイムなデータ収集。抜き取り検査から全品検査への移行

3.製造条件の傾向分析による品質基準値の定期的な見直しと改訂

4.クレーム発生時の要因解析のスピードアップと精度向上

図2 品質保証のあるべき姿(クリックで拡大)出典:アムイ

 上記の4つの項目について、以下で解説していきます。

1.品質基準のデータベース化

 製品⇒半製品⇒部品⇒原材料という工程をたどれるように、部品構成表に対し、製品、工程、品質特性情報をひも付けてデータベース化を図ることが大事です。製品製造時には設計変更や工程変更が発生します。この場合その都度、製品、工程、品質特性の情報も複数部門が連携して改訂する必要があります。特に大規模の製造業では多くの部品を関係企業、仕入先に委託することが多いため、その連携しやすくするためにも精緻なデータベース化は重要になってきます。

2.検査工程の自働化とリアルタイムなデータ収集。抜き取り検査から全品検査への移行

 トヨタ生産方式で用いられる「自動化」は、ニンベンの付く「自働化」です。「自働」とは、機械によしあしを判断させる装置をビルトインした機械という意味です。そして機械を管理・監督する作業者の動きを「単なる動き」ではなく、ニンベンの付いた「働き」にすることが「自働化」を意味します。「異常があれば機械が止まる」ことで、不良品は生産されず、1人で何台もの機械を運転できるので、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。

 例えば外観検査については検査工程そのものを画像認識による自働化を図るのが有効です。現在は高精度のカメラの価格が数年前の10分の1程度となり低コストで実現が可能となりました。検査工程を自働化することにより検査の精度を上げて、後工程でのダブルチェックを防止することにより省人化につなげることが出来ます。併せて、検査機からのリアルタイムな情報収集も可能になります。この方法を形状の計測にも利用することで、計測も全品検査に移行できるようになっております。

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