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» 2016年01月29日 08時00分 公開

zenmono通信:富士通がオープンイノベーションに取り組む理由(後編) (4/5)

[陰山遼将,zenmono/MONOist]

あしたラボUniversity

enmono ではいよいよ「あしたラボUniversity」の話題へ……。

柴崎氏 はい。立教大学での経験をもとに、「あしたラボUniversity」という取り組みを行っておりまして、2014年の11月くらいから「あしたのコミュニティーラボ」のwebサイトにもこのコーナーを作っています。いわゆるデジタルネイティブ世代に向けたものですね。われわれが大学の先生と議論している中で、「柴崎君この『あしたのコミュニティーラボ』は非常にいい活動だけど、若者を相手にしてるか?」という問いかけを受けたんですね。

 「もちろん若い社員も参加するためにこの場を作っているんですよ」と胸を張っていったところ、「バカモノ」と叱られまして。若者っていうのは大学生以下の世代のことだったんです。彼らはデジタルネイティブ世代といわれているのを聞いたことがあると思います。私の息子も今大学2年生なんですが、生まれた時からインターネットがあり、PC、携帯電話もあった。そういう世代の人間が考えるサービス、そういったものを企業がどう取り入れることができるか。またそういった若者のアイデアを生かせる国かそうでない国かは国家の存亡にかかわる――とかなり大上段に大きい話をされまして「えぇ〜!?」と思ったんですが、じゃあ試しにちょっとやってみようかということで「あしたラボUniversity」をはじめました。

enmono われわれはそれに呼んでいただいたんですね。

柴崎氏 はい。ちょうど「あしたラボUniversity」のアイデアソンを首都圏と関西地区で行いました。非常にたくさんの学生さんからご応募いただきました。それぞれ40人ずつ募集したところ、なんと400人の大学生の方に応募いただきました。首都圏と関西でアイデアソンの地区大会を行って、そこから選ばれた3チームずつに参加してもらって、3月に決戦大会を行いました。ここでenmono三木さんにも審査員としてご参加いただきました。

enmono ええ、僕でいいんですかという感じだったんですが。

柴崎氏 ありがとうございました。非常に示唆に富んだコメントをいただいて感謝しております。逆に私から質問させていただきますけど、このサービスを幾つかご覧になったと思いますけど、学生の斬新なアイデアをお聞きになってどう思いました?

enmono 僕らも大学生くらいの人と話をする機会は割と多いんですけど、やっぱりここで感じたのは地元愛というか、そういうものがサービスを生みだす原動力になっているなと感じました。特に優秀だなと感じたものも、かなり地元に想いをはせているものが多かった。やっぱり単純にニーズがあるからということももちろん重要ではあると思うんですけど、やっぱり「愛」ですね。モノづくりには愛が必要だといのを再確認しました。

柴崎氏 そうですね。もともとはアイデアソンということで、モノづくりのところまでは行かないつもりだったんですが。

enmono あ、そうなんですか.かなりモノづくりの部分にも踏み込んでいましたよね。

柴崎氏 そうなんです。実際にドローンを模した模型を作って寸劇をやってくれたチームがいたり、Webサービスのイメージを実際のスマホの画面上に作ってくれたりなど、非常にユニークなチームがたくさんあって楽しかったです。

enmono 社員の方は一緒にやったんですか?

柴崎氏 そうですね。学生が40人ずつ、首都圏と関西でわれわれのシステムエンジニアやデザイナー、プログラマーなどのいろいろな社員がました。参加した社員の声を聞くと始めは大学生の相手をするということで、いろいろ社会人として教えてやろうかなというスタンスで臨んだ人間もいたかもしれないんですが、実はすごい優秀かつ発想豊かな学生さんたちがたくさんいて。結局みんな若者のパワーに圧倒されて、胡座をかいていてはいけない、もっと頑張らないといけないと感じたようです。主催者側からすると、実はそれは「しめしめ」といったところで、社員の活性化にもつながったわけです。

enmono 社内に刺激を与えるということもあるし、富士通という会社の開かれたイメージを世の中にお伝えするという効果もありますね。

柴崎氏 ハッカソンは先ほどもお話ししましたが、お祭りのように見られるということで、心ない大人からは「なにやってんだ!」というようなことを言われるケースもあるんです。けど実は多面的に効果があることも分かってきまして、その効果をうまく見せることで活動を続けていけたらなと思っております。

 会社としての効果と、個人としての効果と書いてありますが、会社としてはビジネスチャンスにつながる。ハッカソンで知り合ったベンチャー企業の方とコラボレーションして新しいサービスの開発につながるかもしれないし、先ほどの浪江町の商談は、実はさくらハッカソンで知り合った富士通の人間とベンチャー企業が浪江町のハッカソンに参加したことでビジネスがスタートしたんです。それから富士通のような会社が持っている技術やサービスを生かすような新たな用途開発の途もあります。それから人材育成ですね。社員が活性化する。教育の観点もありますし、モチベーション、従業員満足の観点もあります。

enmono リクルート的な意味もあるんでしょうか?

柴崎氏 鋭い! 鋭いところを突いてきますね。実は富士通の就職人気ランキングが少しあがっているらしいんです。それはこの「あしたラボUniversity」や「ハッカソン」のせいじゃないかと分析してる方もいるようです。

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