2016年のデトロイトショーを彩った和製スポーツカーの競演とセダンの復権デトロイトモーターショー2016 レポート(4/6 ページ)

» 2016年02月19日 10時00分 公開
[川端由美MONOist]

米国とドイツのエコカー対決

“二枚舌”のフォード「フュージョン」のラインアップ「フュージョンV6スポーツ」は排気量2.7lのV型6気筒ターボエコブーストエンジンを積んで心臓部を強化 “二枚舌”のフォード「フュージョン」のラインアップ(左)。「フュージョンV6スポーツ」は排気量2.7lでV型6気筒ターボエコブーストエンジンを積んで心臓部を強化(右) (クリックして拡大) 出典:Ford Motor

 一時期と比べてエコカーが減ったとはいえ、2016年までに企業平均燃費(CAFE)を35.5MPG(15.1km/l)とするという厳しい目標が目前に迫っている。フォードは、トヨタ自動車の「カムリ」やホンダ「アコード」をライバルと目する「フュージョン」のフェイスリフト版の発表に合わせてプラグインハイブリッドモデルを導入する。一方で、「フュージョンV6スポーツ」は排気量2.7lのV型6気筒ターボエコブーストエンジンを積んで心臓部を強化した。最高出力は325psでBMWの「340」に匹敵するパワーを発揮する。プラグインハイブリッドとスポーツモデルの二枚舌を使い分ける。市場投入は2016年後半の予定だ。

ホンダ「アコード」トヨタ自動車「カムリ」 フォード「フュージョン」がライバルと目するホンダ「アコード」(左)とトヨタ自動車「カムリ」(右) (クリックして拡大) 出典:ホンダ、トヨタ自動車

 GMは、プラグインハイブリッド車「Volt」の妹分として、電気自動車の「Bolt」の生産を始めると発表した。Boltはコンセプトの公開からわずか1年で市販モデルが登場するというスピード開発だ。家庭用の240V電源で9時間、急速充電にも対応し、米国の燃費モードで200マイル(約320km)の走行距離を確保した。スマートフォンのワイヤレス充電や、Appleの「CarPlay」に対応するなど、最新IT技術も搭載する。価格は3万8000ドル(約435万円)で、補助金を含めると3万ドル(約344万円)程度になる。

GMがコンセプト発表から1年で市販する電気自動車「BOLT」 GMがコンセプト発表から1年で市販する電気自動車「BOLT」 (クリックして拡大)

 Chrysler(クライスラー)が、ミニバンの元祖「タウン&カントリー」の実質的な後継となる「パシフィカ」にプラグインハイブリッドシステムを搭載したのも見逃せない。排気量3.6lのV型6気筒ペンタスターエンジンとモーターを組み合わせる。リチウムイオン電池は床下に搭載されて、居住性や荷室の使い勝手への影響を最小限に留めた。

ミニバンの元祖「タウン&カントリー」の実質的な後継となる「パシフィカ」 ミニバンの元祖「タウン&カントリー」の実質的な後継となる「パシフィカ」 (クリックして拡大)

 詳細は別のリポートで伝えたが、メルセデス・ベンツ「Eクラス」もまた、新車発表の段階でプラグインハイブリッド車の導入を発表している(関連記事:新型「Eクラス」は「Sクラス」に比肩、ダイムラーが2016年も攻勢へ)。加えて、逆風が吹き荒れる中、あえて低燃費のディーゼル車も投入する。Volkswagen(VW)が引き起こした、ディーゼルエンジンのNOx排出量不正問題によるドイツ自動車メーカー全体への嫌疑を払拭しようと一石を投じた格好だ。

 Schaeffler(シェフラー)のブースで朝一番に開催された記者発表では、VDA(ドイツ自動車工業会)のトップであるマティアス・ヴァイスマン氏が登壇した。VWの北米での問題について意見を聞いたところ、快く答えてくれた。「VWの問題は、ドイツの自動車産業全体に一般化されるものではない。顧客は、1つのブランドと他のブランドの違いをよく理解している。例えば、ICCT(国際クリーン交通委員会)の試験によれば、BMW『X6』は問題ないと証明されている。過去にあったトヨタ自動車の急加速によるリコール問題についても、全ての日本製品のイメージが悪化したわけではないし、今現在、トヨタはその問題が起こった以前と比べて、北米での業績が回復しているという事実がある。VWによる問題への真摯な対応は必要だが、この問題をもってドイツ製品全体への信頼が揺らいだという意識はない」(ヴァイスマン氏)。さらに、北米を含めたNAFTA(北米自由貿易協定)地域への投資を増やしていることや中国市場で2%程度の成長を予想していることも付け加えた。

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