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» 2016年03月08日 07時00分 公開

実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(10):今の生産性で戦えるか、再確認したい現場改善の“視点と考え方” (5/7)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOIst]

2.2 最少距離での動作設計

 作業の動作時間は「動かす身体部位×動作距離×動作回数」で決まります。“動かす身体部位”については、先に述べた通りですが、ここでは動作距離について説明します。“動かす身体部位”と“動作距離”は関連性が高く、つまり、最少身体部位の動作で作業を完了させるということは短い動作距離で作業を完了させることであるといえます。それでは、どのように「最少距離での動作設計」を行えばいいのでしょうか。一言でいえば、動作にムリのない領域にモノを配置することです。

 図1は上下方向の最少動作域、図2は左右方向と前方向の最少動作域の基準です。あらゆるモノを図に示した基準に従って配置していけば最少動作による作業設計を行うことができます。つまり、ムリやムダのない作業方法を達成することができ、おのずと時間にムラのない作業となります。

図1 上下方向の最小動作域
図2 左右方向と前方向の最小動作域

 また、上記の図に示した動作範囲に全てのモノを配置しようとすると、一度にたくさんのモノを配置することができなくなります。そこでこまめに部品供給を行う小ロット生産へと目が向けられていきます。

 図1の「これ以上、下にはモノを置いてはいけない(膝から下)」は、約50cm以下を基準とします。50cm以下のモノを取ろうとすると、屈まなければ取れません。また、ご存じないかも知れませんが、常にホコリが舞い上がっている空間でもありますので、50cm以下にモノを置かないようにすることは、品質上でも注意を払わなければならない点でもあります。

 また、「これ以上、上にはモノを置いてはいけない(目の位置より上)」は、目の位置より上にモノを置くと、その位置を確認するために、モノを取る前に“目を動かす”という動作が追加されます。スーパーマーケットのレジの脇に子どもの目の高さ(子どもの目線)にオモチャやお菓子が置いてあるように、部品や工具など、全てのモノが目を動かさなくても目撃できる(探さなくてもよい)範囲に配置することが大切です。「モノを配置する最適な範囲(肩から下、肘から上の範囲)」は、肩から上にモノを置けば、“手を伸ばす”動作や“背伸び”をする動きが加わります。肘から下にモノを置けば“腰を曲げる”動作が加わることは容易に想像できます。

 人間が両手をいっぱいに広げた長さは、その人の身長とほぼ同じ長さです。図2に示した左右方向の最小動作域は118cmとなっていますが、これは作業者の身長の約70%を目安に算出したものです。身長の約70%前後がムリのない作業が行える領域の目安となります。また同じく図2の前方向34cm以下という基準は、肘を伸ばさなくても作業が行える範囲を示しています。

 本項の関連として、本連載の第5回も併せてご一読ください。

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