第50回 モジュールとエンベデッドパッシブ前田真一の最新実装技術あれこれ塾(5/5 ページ)

» 2016年03月09日 11時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]
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6.インタポーザ基板

 バイパスコンデンサを高価格な内層実装にして、相応の性能を得られるのは、ICチップを基板にフリップ実装する場合かインタポーザ基板となります。

 この場合、ICチップのグランド/電源パッドに最短でコンデンサが接続でき、内層部品実装のL成分の小さいメリットが得られます。

 大きなビルドアップ・マザーボードにチップをフリップチップ実装し、部品内層実装を行うと、大きなコストになります。また、基板の大半を占める低速で消費電力が小さく、基板実装のバイパスコンデンサでも十分な領域までコストの高い技術を使うことになります。

 このため、スマートフォンやウェアラブル機器のように超小型、超高密度実装基板で、ICチップを直せ基板にフリップ実装を行うような基板以外には基板レベルへの部品内内層実装はほとんど使われません。

 インタポーザ基板はマザー基板に比べ面積が小さいので、コストアップもマザー基板に適応するよりも限定的になります。また、高速で消費電力の大きなLSIはチップのコストも高いので、インタポーザの価格も含めて高機能LSI部品の価格として設定できます。

 ICチップのファインなパッド・ピッチ、多くのインナ・パッドからアウタ・ボールへの微細な配線を実現す必要がある、インタポーザ基板では、ファインパターンが成形できるビルドアップ基板が使われます。

 このように、高性能で高価なLSIのインタポーザでは、エンベデッドパッシブは有効な技術とはいえます。


筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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