ルノーがディーゼル車の実走行時NOx排出量を半減、EGRの動作範囲を2倍にエコカー技術

ルノーは、同社のディーゼルエンジン車のNOx(窒素酸化物)排出量について、実走行時であっても欧州の排気ガス規制である「Euro6b」をクリアするという方針と具体策を表明した。2016年7月に生産する新車から適用を始め、2016年10月からは販売済み車両の無償の改修も実施する。

» 2016年04月07日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 Renault(ルノー)は2016年4月5日(欧州時間)、同社のディーゼルエンジン車のNOx(窒素酸化物)排出量について、実走行時であっても欧州の排気ガス規制である「Euro6b」をクリアするという方針と具体策を表明した。2016年7月以降は、Euro6b準拠のディーゼルエンジン車は対策が適用された状態で生産される。既に販売されているEuro6b準拠のディーゼルエンジン車についても、2016年10月から対策を適用するための無償の改修を行う方針だ。

「クリオ(日本名:ルーテシア)」「キャプチャー」 ルノーを代表する「クリオ(日本名:ルーテシア)」(左)や「キャプチャー」(右)はディーゼルエンジンモデルがある。日本市場には未導入(クリックで拡大) 出典:ルノー

 ルノーが示した具体策は2つある。1つは、EGR(排気再循環)システムの動作範囲の拡大である。同社が2015年7月から実施してきた研究とテストの結果から、動作範囲を現在の2倍に拡大することでEGRシステムの最大効率が得られることが分かった。このような変更を加えても、実走行時におけるエンジンの信頼性や安全性、車両の操作性などに影響はないとしている。

 もう1つは、ディーゼルエンジンの燃料燃焼時にどうしても発生してしまうNOxの車両外への排出量を減らす後処理装置の強化である。ルノーは、NOx吸蔵還元触媒(LNT)+ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の組み合わせを用いているが、NOxを吸蔵する能力、吸蔵したNOxを還元する能力の両方を高める。幅広い走行条件でもしっかり動作してNOxの排出量を減らせるように、より堅牢なシステムにする。

 これらの対策によりNOxの排出量は、走行条件によるものの、EGRシステムの動作範囲を拡大した領域であれば半分まで削減できるという。

 欧州では2014年9月からEuro6bの適用が始まった。しかし、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループの排気ガス不正問題を受けて、2017年9月から導入が予定されているEuro6dではこれまでの台上試験に加えて実路走行試験(RDE)も義務付けられる。ルノーは、今回の実走行状態におけるEuro6bへの準拠だけでなく、Euro6dに対応するための新技術開発も進めるとしている。

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