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» 2016年04月08日 13時00分 公開

IVI公開シンポジウム2016(2):「他に何ができる?」の答えがない人に限って、インダストリー4.0を否定する (2/4)

[三島一孝,MONOist]

インダストリー4.0で必要となる変化

 ザーレック氏はインダストリー4.0で実現したい姿を目指す場合、製造業の工場における情報システムの構造は従来のピラミッド型のシステムアーキテクチャから各階層が統合されたネットワーク型の分散アーキテクチャに変化すると指摘する。

photo インダストリー4.0で変化するシステムアーキテクチャの姿(クリックで拡大)出典:IVI

 ただ、新規アーキテクチャになったとしても、必要な構成要素はほぼ出そろっている。重要になるのはこれらを組み合わせてどのように最適化するかという点である。ザーレック氏は「『リファレンスモデル』『適切なセキュリティコンセプト』『円滑なインテグレーション』の3つのポイントが今後の最重要課題となるだろう」と述べている。

photo ドイツのベッコフオートメーションの日本法人社長である川野俊充氏。通訳と補足説明を行った

 これらの動きは既にインダストリー4.0の活動の中でも既に進められており2015年に公開された「インダストリー4.0実践戦略」では、インダストリー4.0のリファレンスモデルとして「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」が公開されたことで注目を集めている※)

※)関連記事:インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開

 実現に向けては、このリファレンスモデルに合わせて、あらゆるレイヤーでのオンデマンドの通信やインタフェースの高度な標準化、多段階でのマイグレーションプランなどが必要となり「とにかくインダストリー4.0を実装するにはまだまだ多くの時間が必要になる」とザーレック氏は述べている。

 その上で、ザーレック氏は「成功のカギはマイグレーションのための戦略とツールとサービスとなる。また標準化がインダストリー4.0のコアコンセプトだ」と述べている。

インダストリー4.0における標準化

 インダストリー4.0における標準化活動は、既にIEC(国際電気標準会議)におけるドイツのメンバー(DKE)がテクニカルシステムおよび、テクニカル、組織、ライフサイクルの各プロセスにおける標準リファレンスモデルの構築に取り組んでいる。一方で、インダストリー4.0を実現するための現実的な仕組みとして実践戦略で打ち出したのが管理シェルとしての「インダストリー4.0コンポーネント」である。

 インダストリー4.0は全く新しい環境を一から構築するわけではなく、既存の設備などを生かしつつこれらの理想とする姿を実現していかなければならない。現在、工場の中などでは、接続機能がなくシステム構成などもバラバラのシステムがそれぞれ稼働しているが、これらを接続してデータ連携を行わなければメリットを得ることが難しい。そこで、それぞれの機器やシステムの機能を維持した上で、これらをシームレスに接続できるように、間に「管理シェル」を挟むことで相互連携を行えるようにするのが「インダストリー4.0コンポーネント」である。この管理シェルを実現することで容易なシステム移行を実現することを目指している。

photo インダストリー4.0コンポーネントのイメージ(クリックで拡大)出典:IVI

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