製造業の未来を担う高校生が「生産性」の大切さを学ぶ研磨作業で体感(1/3 ページ)

スリーエム ジャパンは2016年3月24日に、宮城県仙台市の仙台市立仙台工業高等学校で「3M 研磨体験授業」を開催した。機会科に所属する2年生65人を対象に、同社の研磨材製品を活用した授業で、モノづくりの「生産性向上」についてレクチャーすることが目的だ。

» 2016年04月13日 11時00分 公開
[陰山遼将MONOist]

 スリーエム ジャパンは2016年3月24日に、宮城県仙台市の仙台市立仙台工業高等学校(以下、仙台工業高等学校)で「3M 研磨体験授業」を開催した。同校の機械科に所属する2年生65人を対象に、スリーエム ジャパンが扱う研磨材製品を活用した体験授業を通して、モノづくりの「生産性向上」についてレクチャーすることが目的だ。

仙台市立仙台工業高等学校 出典:仙台市立 仙台工業高等学校

 なぜ高校生に「生産性」を「研磨工程」を使って教えるのか。まずその背景には、人材不足といった製造業を抱える課題がある。特に中小製造業を中心に、深刻な人材不足に直面する企業が今後いかに企業競争力を保っていくかは喫緊の課題だ。その対応策としての生産性の改善は経営課題でもある。東北地域の製造業も同様で、そもそもの生産労働人口の減少、それに伴う製造業従事者の減少が大きな課題となっている。

 一方、仙台工業高等学校の機械科を卒業した7〜8割の学生たちは、東北地域の製造業に就職していく。こうした背景から今回の体験授業では、学生たちに対して特別授業という形で、モノづくりにおいて生産性を高めることの大切さを知ってもらうことが1つの目的となっている。

 では、そこでなぜ研磨材なのかというと、仙台工業高等学校が位置する宮城県および東北地域には金属や機械加工を手掛ける製造業が多いという理由がある。そこで在学中に溶接などの関連資格を習得する学生も多いという。そして金属・機械加工においてほぼ必ず発生する作業といえるのが研磨工程だからである。

 一般的に研磨工程は人的依存が高い作業であり、作業時間の短縮による生産性の向上は見込めない領域と捉えられている。しかし、こうした無意識の研磨作業に対する“思い込み”をターゲットに、これまで積極的な活動を続けてきたのがスリーエム ジャパンの研磨材事業部だ。

 同事業部では2012年ごろからスリーエム ジャパンが扱う研磨材製品の性能、そしてその活用による研磨作業工程の効率化が企業にもたらすメリットを知ってもらうべく、全国に研磨材のスペシャリスト集団「研援隊」を派遣。ユニークな地域密着型の取り組みを通して、実際に使ってもわらないと性能が伝わりにくい研磨材製品のユーザー数を増やしてきた。先述した課題を抱える東北地域の中小製造業に対しても、既に東北工業大学と協力して研磨材という“道具の観点”から作業効率向上を支援する取り組みを実施している(関連記事)。

 こうした研磨材事業部の取り組みの一環として、仙台工業高等学校においても2015年12月に機械科の3年生に対して試験的に研磨体験授業を実施した。これが好評だったことを受け、今回、仙台工業高等学校と協働という形で本格的に実施することになったという。本稿ではその様子をレポートする。

約65人の生徒を対象に体験授業を実施した
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