骨折部の創外固定器の動作確認に機構解析ソフトウェアを活用CAEニュース

エムエスシーソフトウェアは、静岡理工科大学の野崎准教授が、骨折部の創外固定器の開発において、人体モデルと固定器の動作確認に同社の機構解析ソフトウェア「Adams」を活用していると発表した。

» 2016年05月19日 10時00分 公開
[MONOist]

 エムエスシーソフトウェア(MSC)は2016年4月19日、静岡理工科大学理工学部の野崎孝志准教授が、手外科微小外科領域先端医工学講座で、人体メカニズムの解析・制御などに機構解析ソフトウェア「Adams」を活用していると発表した。骨折部の創外固定器の開発において、動作確認のために用いているという。

 同研究室では、これまで複数のMP関節部(指の根元の関節)の創外固定器の試作機を作製してきたが、手指の模型に装着させた際に、十分な関節可動域と安定した動作が得られていなかった。今回、挙動の改善にあたり、自動車のトランスミッションの継手の挙動をAdamsでシミュレーションした実績から、手指の生体構造に近いAdamsモデルを活用した。

 シミュレーションでは、上肢のCADモデルをAdamsに読み込み、バネとビームを用いて骨格・筋・腱の生体構造を再現した。まず、手指関節の左右両側面に、2つの腱が交差するようにビームフォースを取り付け、さらに手指関節の手のひら側にバネ要素を付けて手指の関節を模擬した。その後、考案した固定器のCADモデルをAdamsに読み込み、手指モデルに固定して動作を確認。創外固定器が指の動きに対応することを確認した。

 同研究室が開発した創外固定器は、指の角度変化に合わせる軸継手にダブルカルダン等速ジョイントを採用。2個の等速ジョイントを直列に接続することで、MP関節に必要な上下運動110度、横運動60度の自由度を確保しつつ、手指の背面側に固定できる。これにより、従来は側指部分に固定器があるため、骨折部がレントゲンに映りにくかったが、側面からのレントゲン撮影が可能になった。

 

 今後は小型軽量化とより大きな関節可動域を追求し、骨折の治療からリハビリまでをカバーする創外固定器の開発を目指すとしている。

photo 開発したMP関節部の創外固定器
photo Adamにて検証した固定器と手指モデル

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