IoTで目指すべきは“体験”の拡張、PTCがARとの融合で実現LIVEWORX 2016(2/2 ページ)

» 2016年06月08日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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「ThingWorx」と「ColdLight」を融合した「ThingWorx Analytics」

 このIoTとAR/VRの組み合わせの価値をさらに高めるのがアナリティクスである。ヘプルマン氏は「IoTのデータをそのままというのは原油のようなものだ。アナリティクスという精油所によって、価値はさらに高まる」と主張する。

 アナリティクスの事例となったのが、電力や石油、ガス、化学といったプロセス産業向けにポンプやバルブなどを供給するFLOWSERVEのデモンストレーションである。このデモでは、水を流すシンプルなポンプシステムの各種センサー情報を、National Instrumentsの機器を介してThingWorxで取得している。

FLOWSERVEの水ポンプのデモシステムエッジコンピューティングを行うHPエンタープライズのPC FLOWSERVEの水ポンプのデモシステム(左)。エッジコンピューティングを行うHPエンタープライズのPCはそれほど大きくはない(右)(クリックで拡大)

 さらに、これらのセンサー情報の履歴から、予測分析と機械学習が可能なColdLightを組み込んだHPエンタープライズのPCを使って最適なオペレーションを導き出すことができる。あるバルブを閉じて状態を変化させても、リアルタイムで分析して最適なオペレーションを行えることを示した。IoTを活用する際には、全てのデータをクラウドに上げているとリアルタイムな応答性が低下するという課題がある。この課題への回答が、よりセンサーに近いところでデータを処理/判断するエッジコンピューティングだが、今回のHPエンタープライズのPCは、まさにリアルタイムな応答が可能なエッジコンピューティング端末になっているのだ。

 そしてこの事例を実現しているのが、ThingWorxとColdLightを融合した「ThingWorx Analytics」である。

アジャイルエンジニアリングを実現する「PTC agileworx」

 IoTトレンドの中でThingWorxが脚光を浴びているPTCだが、もともとは3D CADやPLMといったエンジニアリングに用いるツールのベンダーである。ヘプルマン氏は「IoTによる変革はエンジニアリングでも大きな影響を与えている」と語り、IT業界で既に浸透しているアジャイル開発を適用する「アジャイルエンジニアリング」の可能性に言及した。

 アジャイルエンジニアリングの事例として挙げたのが、ロボット競技会「FIRST」での取り組みだ。FIRSTに参加する高校生チームで、メカニカル、エレクトロニクス、ソフトウェアなどの各専門分野と、それをまとめあげるスクラムチームリーダーが連携する開発体制を導入した。例えば、これまでメカ構造が組み上がるまで他の開発ができなかったところを同時に進行できるようになり、課題に早期に対処できるようになったという。

「FIRST」向けに提供されている「PTC agileworx」の画面例 「FIRST」向けに提供されている「PTC agileworx」の画面例(クリックで拡大)

 この事例で利用されたのが、アジャイルエンジニアリングを支援するThingWorxベースのツール「PTC agileworx」である。2016年6月のリリースを予定している。

 講演の最後にヘプルマン氏は「IoTを巡る競争が過熱しているが、PTCがデジタルとフィジカルの融合を可能にするユニークな企業であることを示したい」と述べて、新たに採用した企業ロゴを発表した。

PTCの新たな企業ロゴとヘプルマン氏 PTCの新たな企業ロゴとヘプルマン氏(クリックで拡大)

(取材協力:PTCジャパン)

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