スポーティーな小型車はブルーグリーン、SUVにはドロドロしたこってり系車両デザイン(1/2 ページ)

2〜3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワードになりそうだ。BASFが発表した2016年の自動車のカラートレンドの予測では、「バーチャルとリアル」のような画一的ではない世相を反映し、「人工的なメタリックとナチュラルカラー」といった多面的な色の系統や、見る角度によって色彩が変わるという多面的な色彩に注目が集まるという。

» 2016年06月28日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
2〜3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワード 2〜3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワード (クリックして拡大)

 2〜3年後のクルマのボディーカラーは多面性がキーワードになりそうだ。BASFが発表した2016年の自動車のカラートレンドの予測では、「バーチャルとリアル」のような画一的ではない世相を反映し、「人工的なメタリックとナチュラルカラー」といった多面的な色の系統や、見る角度によって色彩が変わるという多面的な色彩に注目が集まるという。

 また、自動車メーカーが、ブランドの象徴となるボディーカラーの模索や、色を含むデザインで従来の枠組みを超えていくことをテーマにしていくと見込んでいる。

2〜3年後の世相?

 BASFジャパンが2016年5月11日に発表した2〜3年後の自動車のカラートレンドのテーマは「パララックス(多面的な視点)」だ。現代社会のバーチャルな世界の魅力と、リアルな現実世界での自己表現への憧れという“視差”を表現しているという。このテーマに基づいて65色のカラーを提案した。

 これらのボディーカラーの発想はクルマのみから得たものではなく、BASFの世界各国の社員が生活の中からさまざまなアイデアを出し合った議論から生まれたものだ。もちろん、ボディーカラーはクルマのトレンドも反映している。例えば、自動車メーカー各社が投入しているSUVに向けた色も複数設定されている。

 カラートレンドでは、「バーチャル」「生活のデジタル化」といった世相を受けて、人工的でメタリックなブル、シルバー、ホワイトが人気を集めると見込んでいる。一方で、デジタルとアナログ、新旧の多様な価値観、異なる文化などが複雑に融合する中で、人々の考えや感覚に混沌とした部分が増えていくとし、“こってり系”の色も増えていく。さらに、混沌の中のエネルギーを表す鮮やかな色味も含まれている。

こってり系と、90年代のリバイバル

 “こってり系”は、決して彩り豊かで鮮やかな色ではない。現代社会が求める癒しを連想させる植物に由来した色が多い。「きれいな花の色だけでなく、特殊でレアな品種も含めて、人を癒す植物だ。珍しい植物は、知識欲やストーリー性を求める傾向の表れでもある」(BASFジャパン カラーデザインセンター チーフデザイナーの松原千春氏)。

 こってり系の色味は、角度によって見え方が変わる。光があたった部分はぎらぎらと反射し、影になる部分は濁って暗くなるという多面性を持つ。エッジの立ったソリッドなデザインや、真っすぐなプレスのラインなど、明暗をはっきり付けた外観のクルマに似合いそうな色味だ。

 カラートレンドでは、かつて流行したカラーの復活も予測する。1990年代半ばにトレンドとなった「ブルーグリーン」だ。BASFでは、この色は新しい価値観やライフスタイル、社会の在り方が出現する時代を示すとしている。日本をはじめ、アジア太平洋地域で再びトレンドとなる見込みだ。「コンパクトカー、特にスポーティーなモデルを想定した色だ」(松原氏)。

欧州の青アジアの青 欧州(左)やアジア(右)で青がリバイバルしそう (クリックして拡大)

 定番色である白も、すこし暗くしたり、メタリックな顔料を加えたりしたさまざまなラインアップをそろえた。メタリック系の中でも、顔料の粒子感を少なくしたり多くしたりして、さまざまな光沢感を演出している。

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