「リモートカメラで人物を自動追尾」、使われる2つの技術

遠隔授業の撮影などに用いられる「リモートカメラ」に、自動人物追尾の機能を追加するソフトウェアをパナソニックが提供している。そこには、3年前のPCでも快適に自答追尾を行う「2つのコア技術」が用いられている。

» 2016年06月28日 17時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 壁面や天井に設置されたカメラを遠隔操作しながら映像を得る「リモートカメラ」と呼ばれる製品ジャンルが存在する。製品そのものとしては監視カメラに近いものだが、監視カメラが主に監視対象となる「場所」を映すのに対し、リモートカメラは大学での講義や議会場などで主に「人」を映すために用いられる。

 用途が異なることから必要とされる要件も異なり、リモートカメラでは対象となる人をいかに少ない労力で鮮明に撮れるかが求められる。パナソニックではリモートカメラ「AW-HE130」などに対応する人物の自動追尾ソフトウェア「AW-SF100G」を開発、2015年12月より提供している。その追尾技術について技術セミナーの形で詳細が説明された。

リモートカメラ「AW-UE70」と自動追尾ソフト「AW-SF100G」を用いた人物追尾 リモートカメラ「AW-UE70」と自動追尾ソフト「AW-SF100G」を用いた人物追尾の例。カメラは女性を横向きに捉えているが、画面上の赤い四角が示すよう自動追尾は継続している

 ソフトウェア「AW-SF100G」の追尾機能は「動き・頭部検出」と「テンプレートマッチング」の2つが技術の核だ。

 前者は撮影した動画の連続したコマ画像から動きのある部分を人物と仮定して抽出、その画像へガボールフィルターによる形状検出をかけ、「人物の頭部」を推定する技術。後者は同じく撮影した動画の「現在の1コマ」と「直前の連続した10コマ」の差分を検出して、頭部の位置を推定する技術だ。

 いずれも「撮影した映像から人物の頭部」を推定する技術であるが、得手不得手がある。前者は「人のような頭部と胴体を持つモノが動いている」とそれが人であると誤認識する可能性があり、後者は「ポスターに描かれた人物」といったリモートカメラで意図する撮影対象ではないものを対象として認識してしまう可能性がある。そのため、2つの技術の重み付けを利用者がマニュアル操作できる仕様となっており、使用場所や演者に応じて最適な人物の自動追尾が行えるようになっているという。

 現時点では「人物の検出機能」を提供するにとどまっているが今夏には事前登録した顔を検出して認証する顔認証機能も実装、撮影映像と事前登録した顔がマッチした場合にはその顔(その人物)を自動追尾する。

「動き・頭部検出」と「テンプレートマッチング」の概要。処理対象となるコマ画像はVGA程度まで解像度を落とした画像を用いることで処理負担を軽減している
事前登録した顔情報とのマッチング。処理に使われたPCは2013年のモデルである「CF-NX3」

 自動追尾ソフト「AW-SF100G」はリモートカメラとネットワーク接続されたPCにインストールするソフトウェア(サーバへのインストールも可能)だが、同社ではカメラ側への組み込みも視野に入れている。ただ、そのためにはCore i5クラスの処理能力を持つPCでの利用を前提としているソフトウェアロジックの簡素化が必要とされている。

 しかし、同社は監視カメラにおいて、映像から必要な人物の顔を抽出する「顔ベストショット」や、映像から人物を含む動体を除去する「MOR(Moving Object Remover)」などの画像処理機能をカメラ側機能として提供しており、利用用途に応じての開発が行われるだろう。

 リモートカメラは遠隔撮影のみならず、従来ならばカメラマンで撮影していたサブカメラの代替、IP化による製作コストの低減などを実現することから、「年10%の成長が見込める市場」(パナソニック)とされている。同社では講義や議会場を始め、スポーツ施設や結婚式場、放送スタジオなどへの導入を目指すとしている。

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