概念設計からAR、複合最適化まで、3Dデータの活用提案が多数DMS2016(3/4 ページ)

» 2016年07月13日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

マイクロソフトと共同開発

 シーメンスPLMソフトウェアはクラウドライセンスの「Solid Edge ST9」などを紹介していた。「普通のライセンスと違って、Solid Edge ST9のライセンスは端末に固定されていないのが特徴」(説明担当者)。クラウド上にライセンスと個人設定が保存されている。会社や出張用PCなどそれぞれにSolid Edgeをインストールしておけば、いつも同じ環境で作業ができる。アップデートも自動だ。

 データは「Box」や「OneDrive」「Dropbox」「Google Drive」といったクラウドストレージへ保存する他、自社サーバにVPN接続して保存することもできる。また月ぎめライセンスで、小さな企業やスタートアップ、個人でも手軽に使用できるのが特徴だ。マイクロソフトとの共同開発により、タブレットPC「Surface Pro 3」以降を公式ハードウェア認定している。

「電子ホワイトボードが使用されない理由」を徹底追求

 リコーはインタラクティブホワイトボード「D5510」を紹介、デザインレビューを想定したデモを行っていた。D5510はいわゆる電子黒板で、映像信号を入力してディスプレイ上に映し、その上に専用ペンを使って書き込む。要所ごとにスクリーンショットを撮って、デザインレビューなどの過程をPDFファイルなどに保存できる。

 この製品は「電子黒板が使われない際の理由を徹底的に分析して生まれた」(説明担当者)という。電子黒板の機能ははじめに「書きづらい」と認識されるとそれ以降は使われなくなってしまうため、違和感の原因の1つであるペン先と書かれる線とのずれや、アクションを挟むことなく筆記機能から消しゴム機能に移ることができるなど、細かな作り込みを行ったという。

 書き込みはD5510だけでなく、例えば遠隔地のiPadを通しても行うことができる。同時にテレビ会議の画像を映すことも可能だ。これらにより、遠隔地との複数人数でのデザインレビューも円滑に行えるようになっている。

電子ホワイトボード「D5510」でCADソフトの映像を流しデザインレビューをする様子。右上にはリコーのテレビ会議システムシステムを使って会場の様子を映している。下の遠隔地を想定したiPadでも参加できる。

屋内版グーグルストリートビューを作成

 構造計画研究所では屋内用3Dマップ取得プラットフォーム「NavVis(ナビビズ)」を展示していた。屋内用のキャッチャーシステム「M3 Trolley」、取得したデータを閲覧できる「IndoorViewer」「Navigation App」からなる。トロリー(手押し)型のM3 Trolleyは屋内専用で、カメラによって周囲の画像を、前面に搭載された2つのレーザーによって点群を取得し、3Dデータ化する。いわばグーグルストリートビューの屋内版だ。得られたデータ上で2点間の距離を求めるなどの測量も可能になる。GPSを使用できない屋内環境でも、装置の一番上にあるレーザーで壁面情報を取得し、2次元マップを生成する。Navigation AppではGoogleストリートビューのように道路上の経路を確認できる。

 Googleから「TANGO」の名前で同様のプラットフォームが提供されるが、NavVisはTANGOよりも広い空間に向いているという。もともとBMWが工場レイアウトやメンテナンスに利用するために開発されたとのことだ。構造計画研究所ではNavVisの販売だけでなくマッピングサービスやソリューション提案なども行っている。

(左)屋内マッピング装置「NavVis」手で押して移動しながらデータを取得できる。(右)一定高さでのレーザー測距により屋内マップを作っていく。

(左)Chrome上でNavVis Indoor Viewerで閲覧しているところ。写真と点群のデータを重ね合わせている。(右)展示会場の様子を記録したもの。グーグルストリートビューと全く同じ操作感だ。通路を表す線も表示されていた。

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