特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年07月26日 10時00分 公開

IoTと製造業の深イイ関係(1):アマゾンと電化製品の連携にみる、IoT時代のサービスの在り方 (3/4)

[吉岡佐和子(情報通信総合研究所),MONOist]

「なくなる前に」:Amazon Dash Replenishment Service

ワールプールの洗濯機は、洗剤がなくなると自動で注文してくれる ワールプールの洗濯機は、洗剤がなくなると自動で注文してくれる。「CES 2016」に出展した(クリックで拡大)

 しかし、Dash Buttonより画期的だと感じたのが、同ボタンと同時発表された「Amazon Dash Replenishment Service(Amazon DRS)」だ。Amazon DRSは、提携するメーカーの家電などの中にセンサーを埋め込むことにより、その電化製品で使われている消耗品の度合いを把握し、それらの交換や購入が必要となるときに自動発注するものである。いわばDash Buttonの機能がそのまま電化製品に組み込まれた形で、しかも、人手を煩わすことなく、消耗品購入までのプロセスを自動で実現してくれる。2016年に入り、Amazon DRSに対応した家電が次々に製品化された。具体的には、Whirlpool(ワールプール)の洗濯機や食器洗浄機、ブラザー工業のプリンタ、Brita(ブリタ)の浄水器などが挙げられる。

 ワールプール製品は、家電の中に保存されている洗剤の残量をモニタリングし、残り少なくなってくると自動的にアマゾンのECサイトに飛んで発注してくれるというもの。これにより購入漏れを防げ、24時間365日、消耗品を切らす事なくいつでも家電のフル稼働が可能となる。

 プリンタであればインクの残量を監視しているし、浄水器はフィルタの汚れ度合いを見ているといった具合だ。ユーザーにとって不便な場面そのものをもたらさないというのがコンセプトだ。

 このようなサービスを行っているのはアマゾンだけではない。例えば、ドイツの家電メーカーMiele(ミーレ)も、洗濯機そのものにセンサーを組み込み、洗剤がなくなるとスマートフォンに通知するというサービスを展開している。ただし、アマゾンのように自動で送られてくるのではなく、洗濯機からスマートフォンに送られてきた情報をユーザーが確認し、その上で洗剤の種類、数量を設定し、最後にボタンをタップすることで初めて注文が決定される。

 このプロセスには、米国とドイツにおけるメーカーとしてのスタンスや文化の違いが表れている。オートメーションを推奨する米国に対し、ドイツでは「最後は必ず人間が確認する」というプロセスが重視される。知らない間に勝手に注文されていたということは好まれないため、あえてこのようなプロセスを踏んでいる。また、消耗品が送られてくるのはAmazon.comといったECサイトではなく、直営店からのみだ。これもミーレによる個人情報保護の意味合いを持っている。

 両社の間に若干のスタンスの違いはあるものの、ユーザーにとっては買い忘れによる不便を避けることが可能だ。

「話すだけ」:Amazon Echo

 2014年秋に発表され、2015年6月に一般販売開始した「Amazon Echo」は人工知能を搭載した音声アシスタント機能付スピーカーだ。デバイス上部に7つのマイクを搭載し、隣の部屋の声を拾うこともできるという。

 展開当初は「スピーカー兼音声エージェント」の位置付けであったが、2015年4月からは家電などとも連動するようになり、例えば照明のオン/オフなどができるようになった。さらに2016年2月からは宅配ピザの注文やUber(ウーバー)の配車手配なども可能になった。

 しかし最も注目すべきは、2015年6月に、Amazon Echoに用いられている音声認識サービス「Alexa」のAPI「Alexa Voice Service」を開発者向けに公開したことだろう。詳細については「混迷するスマートホーム市場、Amazonが静かに存在感を高める3つの理由」に記述しているのでそちらを参照いただきたい。

 実は、Microsoft(マイクロソフト)の「Cortana」や、Google(グーグル)が2016年5月に発表した「Google Assistant」がAlexaに追随する動きを見せ始めている。これは近い将来、音声認識技術が電化製品のインタフェースにさえなることを意味している。

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