クアルコムがシートサプライヤ大手と契約、電気自動車のワイヤレス給電を製品化電気自動車

Qualcommと、シートや電装システムを手掛けるLearは、電気自動車やプラグインハイブリッド車に向けたワイヤレス給電に関するライセンス契約を締結した。リアはクアルコムのワイヤレス給電技術「Qualcomm Halo」を使用して、自動車メーカーやワイヤレス給電のインフラを手掛ける企業と取引する。

» 2016年07月29日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
電気自動車やプラグインハイブリッド車向けのワイヤレス給電システム量産に弾みをつける。2011年にイギリスで実施したワイヤレス給電の実証実験の様子 電気自動車やプラグインハイブリッド車向けのワイヤレス給電システム量産に弾みをつける。2011年にイギリスで実施したワイヤレス給電の実証実験の様子 (クリックして拡大) 出典:Qualcomm

 Qualcomm(クアルコム)と、シートや電装システムを手掛けるLear(リア)は2016年7月27日(現地時間)、電気自動車やプラグインハイブリッド車に向けたワイヤレス給電に関するライセンス契約を締結したと発表した。

 リアはクアルコムのワイヤレス給電技術「Qualcomm Halo」を使用して、自動車メーカーやワイヤレス給電のインフラを手掛ける企業と取引する。クアルコムはリアに専門的な技術やエンジニアによるサポートを提供する。

 Qualcomm Haloは、電気自動車向けワイヤレス給電のコイルや充電の制御、異物や人間の検知といった技術をパッケージ化したもの。クアルコムはワイヤレス給電システムの試作などは行っているが、量産はリアが行う。

一般的な丸型コイルと「Halo」のDD方式受電コイルの比較。右上が出力電力3.3kW/高さ方向の位置ずれ許容距離100mmクラスの丸型コイル、右下が同じ仕様のDD方式コイル。左上が、出力電力3.3kW/高さ方向の位置ずれ許容距離160〜200mmクラス、左下が出力電力7〜8kW/高さ方向の位置ずれ許容距離160〜200mmクラスのDD方式コイル。「オートモーティブワールド2016」で出展した 一般的な丸型コイルと「Halo」のDD方式受電コイルの比較。右上が出力電力3.3kW/高さ方向の位置ずれ許容距離100mmクラスの丸型コイル、右下が同じ仕様のDD方式コイル。左上が、出力電力3.3kW/高さ方向の位置ずれ許容距離160〜200mmクラス、左下が出力電力7〜8kW/高さ方向の位置ずれ許容距離160〜200mmクラスのDD方式コイル。「オートモーティブワールド2016」で出展した (クリックして拡大) 出典:

 クアルコムは既に4社とQualcomm Haloのライセンス契約を結んでいる。2015年にイギリスの充電器メーカーで、日産自動車など向けに急速充電器を提供するChargemasterや、スイスのティア1サプライヤのBRUSA、ポルトガルの電源機器メーカーのEfacec、2016年にはイギリスのエンジニアリング会社のRicardoへ、ライセンス提供を始めた。

 また、Qualcomm Haloは量産車ではないが車両への搭載実績もある。2015年に開催した電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」のシーズン2で、公式セーフティーカーであるBMWのプラグインハイブリッド車「i8」にワイヤレス給電システムが採用された。このシステムは、前年に提供したシステムの出力から倍増した7.4kWだ。i8が1時間でフル充電できる。

ワイヤレス給電システム搭載のセーフティーカー、BMW「i8」。クアルコムのワイヤレス給電は1時間でフル充電が可能 ワイヤレス給電システム搭載のセーフティーカー、BMW「i8」。クアルコムのワイヤレス給電は1時間でフル充電が可能 (クリックして拡大) 出典:BMW

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