HILSとアクチュエータいまさら聞けないHILS入門(4)(3/4 ページ)

» 2016年08月17日 10時00分 公開
[高尾英次郎MONOist]

イグニッション回路

 イグニッション回路は、図1に示すようにエンジンの点火タイミングに合わせて、ECUから点火パルスを出力します。パルスオン時に、イグナイターに高電圧を発生してイグニッションプラグが放電します。点火パルスは、オン時にバッテリー電圧となります。

図4 図4 イグニッション疑似負荷回路と測定回路(クリックで拡大) 参照:知っておきたいカーエレクトロニクス基礎(1):なぜ、カー“エレクトロニクス”が注目されるのか?

 HILS疑似負荷回路の一例を図4に示します。イグナイターの入力部と同等の負荷抵抗を疑似負荷とします。この回路では、実回路とほとんど同じ電圧電流が発生します。

 測定回路は、単純に考えればデジタル入力でよいのですが、クランク角ベースでパルスがオンするタイミングを測定する必要があるので、パルス測定回路を使用します。時間ベースの通常のパルス測定ではない点に注意が必要です。コンパレータは、パルス信号のオンオフ電圧がパルス測定回路に合うように調整します。

インジェクター回路

 インジェクターは、吸気ポートに低圧の燃料噴射を行います。駆動回路は、図1に示すように、ECU内の吸い込み回路をオンオフします。燃料ポンプリレー駆動回路と同じタイプの回路ですが、エンジンの吸気工程中の噴射期間に合わせてオンオフを繰り返します。駆動電圧は、オン時に0V、オフ時にバッテリー電圧となります。

図5 図5 インジェクション疑似負荷回路と測定回路(クリックで拡大)

 HILS疑似負荷回路の一例を図5に示します。インジェクターは、ソレノイドの磁力でバルブを開いて燃料を噴射する構造です。実機と類似の電磁気的過渡特性を実現するには、疑似負荷Aのコイル負荷を使用するべきです。しかし、本システムのような吸気管噴射タイプでは、噴射タイミングについてそれほどの精密さを必要としないため、簡単な抵抗のみの疑似負荷Bを使用します(噴射タイミングに敏感な筒内噴射タイプでは、過渡変化に注意を払って疑似負荷仕様を決める必要があります)。

 測定回路は、クランク角ベースでパルスがオンするタイミングとデューティー比(オン時間の比率)を測定するために、パルス測定回路を使用します。

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