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» 2016年08月31日 13時00分 公開

3D設計推進者の眼(13):3D設計推進者が考える、3D CADと学生の技術教育 (3/3)

[土橋美博/飯沼ゲージ製作所,MONOist]
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3D CADの技術的な教育

 学校教育関係者の皆さんにも、JIS製図の大切さについてもお話しさせていただきました。それと併せて、3Dデータだけで部品が加工できる日は近づいているものの、2Dの図面は設計者の意図を示すためには今もなお必要不可欠だということ、図面を描く上では、加工方法についての知識も必要だという話もしました。

 また間違った2D図面を描いてしまっていることもあるかもしれないことを、私の実体験に基づいて話をしました。

 以降は、教育で押さえたい、特徴的な図面やモデリングについてお話をしていきます。

1.この図面の間違いに気が付くか

 まず、以下の2つの図面をぱっと見て、その違いや間違いに気付くでしょうか?

軸物の図面

 3D CAD上では同じ形をした軸物ですが、2D図面上では一方は細くなっている方が左側に、もう一方はそれが右側になっています。

 皆さんもきっとお分かりのように、正解は細い方が右側に来ている図面です。実はこれ、私が入社したばかりで、部品図バラシをした際に、先輩から初めて指摘されたことでした。軸物を加工する旋盤は、その材料をチャックする部分は左側にあり、刃物は右側にあります。軸の両端を加工するような場合は除きますが、一般的にはこれが基本となって、このような2D図面が正しいといわれるわけですね。

2.軸物のモデリングについて

 3D CADで軸物をモデリングする場合には、以下のように同一モデル(パーツ)であっても描き方が複数あります。ここではフィーチャを用いるタイプの3D CADを例に説明しています。

  1. スケッチ円を押し出して、その後、切削部分を円周上にカット
  2. スケッチを押し出した後で、押し出した形状に更にスケッチ円を作成し押し出す
  3. 円周上にスケッチを回して形状作成

 その他にも同一形状を作成する描き方はたくさんあります。

軸物のモデリングについて

 では、一体どれが正しいかどうかは、設計者の意図によります。私としては、「切削加工を基準に描いた方が正しいのではないかな」と考えます。もし3Dプリンタが今以上に普及したら、その発想も変わる時が来るかもしれませんがね……。

3.公差の表記方法

 以下の図は寸法線と合わせた公差の表記方法です。その一例としてデータム面の指定を挙げてみました。左右の2D図面でそれぞれ示したものは異なる意味を持ちます。皆さん、お分かりでしょうか?

データム位置の指定

 左側は、50mmの寸法を持つブロックの中立面をデータム面としてます。右側は、50mmの寸法を持つブロックの端面をデータム面としています。データムの書き方1つでその基準は変わってしまうというわけです。3D CADでモデリングしている時にどこを基準面として考えているのかということと同時に、正しい図面の描き方というものも教えていく必要があります。

 学校教育においても、企業での教育においても、単に3D CADの操作習得を目的とするのではなく、基本的な加工技術や製図技術というものが3D CADを使うバックグランドであると考えることが必要だと私は確信しています。

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の副代表リーダー・事務局も務める。



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