特集
» 2016年09月12日 10時00分 公開

ランボルギーニ 先進素材開発センター潜入レポート:変革する自動車のCFRP技術、オートクレーブ成型は5年以内に消える!? (2/4)

[西川淳,MONOist]

CFRPの修復作業を体験

「フライングドクター」を前にした筆者 「フライングドクター」を前にした筆者(クリックで拡大)

 講義の後、実際の修復作業を体験してみた。目視や超音波診断によってフライングドクターが修復可能と判断した破損部位を、まずは滑らかなテーパー形状に仕上げる。ダメージを受けた部位をテーパー状に拡げると、当然、相似形の積層が見えてくる。積層数に合わせて何枚かの修復用カーボンステッカーを、小さいものから順に丁寧にハンドレイアップで張り合わせていく。繊維の方向性なども重要で、これは修復設計時に決定される。積層し終えたら、金属パネルを重ね合わせて、均一に加熱が進むよう慎重に位置を決め、電極を貼り付ける。

修復作業を体験修復作業を体験修復作業を体験 修復作業を体験。ダメージを受けた部位に修復用カーボンステッカーを張り合わせて(左)、金属パネルを重ね合わせ(中央)、電極を貼り付ける(クリックで拡大)

 電極を張り終えたら、それ以降は通常のプリプレグ成型と同じ段取りだ。通風用の布を被せ、エアバルブを置き、バッグフィルムを被せ、真空引きをしてから、さきほどの電極をフライングドクター専用のボックスシステムにつなげて加熱して完成、となる。損傷の程度や形状にもよるが、フライングドクターによる作業は、短くて3日、長くても2週間。これまでに40台以上の実績があり、ノウハウは日々蓄積されている。

エアバルブを置いて真空引き「フライングドクター」専用のボックスシステムで加熱 エアバルブを置いて真空引きし(左)、「フライングドクター」専用のボックスシステムにつなげて加熱する(右)(クリックで拡大)

 現在、ランボルギーニの各モデルには、“原始的”なプリプレグオートクレーブ成型から、最も力を入れている成型技術「フォージドコンポジット」まで、実にさまざまカーボン成型技術が採用されている。例えば、アヴェンタドール・ロードスターに“アドペルソナム”という特注システムを使ってフォージドコンポジットのパーツを追加オーダーし装備すれば、それは実用化されたランボルギーニ全てのCFRP成型技術を搭載した、いわば“ランボのCFRP博覧会仕様”、といった様相になるわけだ。

“ランボのCFRP博覧会仕様” “ランボのCFRP博覧会仕様”(クリックで拡大) 出典:ランボルギーニ

 とはいえ、その全ての成型技術が、現時点で十分にサスティナブル(持続可能性がある)とはランボルギーニ自身も考えてはいない。CFRPの成型に関していえば、性能や機能の追求はもとより、生産コストをいかに軽減していくか、そして環境負荷をいかに下げていくかを二大目標に掲げている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.