連載
» 2016年09月21日 11時00分 公開

年間1ドルの通信費で普及を狙う「SIGFOX」IoT観測所(25)(2/3 ページ)

[大原 雄介,MONOist]

SIGFOXに「できないこと」

 逆にSIGFOXにできないことは何か?というと、これは簡単で「クラウドからデバイスにデータを送ること」だ。つまりSIGFOXは一方向の通信しかサポートしていない訳だ。なので、例えばリモートで制御を行うような用途にはSIGFOXは向いていない。先のPhoto01、矢印の向きが一方向であることからもこれは分かると思う。なので、SIGFOXの主な用途は、センサーネットワークを始めとしたイベントの伝達ということになる。

 SIGFOXの説明によれば、B2Bの用途では

Smart City:公共駐車場のモニタリング(空き台数の通知)

Asset Management:屋外広告の監視/資産追跡(貨物のトラッキング)/ゴミの管理

Utilities:水量計

Healthcare:墜落検出/非常ボタン/投薬確認/ホームケア管理

などが、B2Cの用途では

Pet Tracking:ペットのヘルスケアモニタリング/場所確認

Security:リモートアラーム

Bike&Car Security:自転車や車の盗難時追跡

Climate Monitoring:屋内空調モニタリング/気候モニタリング

 などが挙げられている。

 個人的な感想でいえば、特に車や自転車のモニタリングは、案外にニーズは多い様に思うが、いろいろ仕込む場所もあり、(大容量バッテリーを積んでいる車はともかく)自転車にはそこまでのバッテリーは搭載できないし、昨今の携帯電話のサービスを使うとどんなに安くても月額で1000円を切るのは難しい。

 SIGFOXベースのソリューションだと、GPSと組み合わせて例えば30分に1回、自分の自転車の場所を送信してくれ、電池寿命が(10年は無理にしても)1年程度持つ、というサービスを通話費は年間1ドル程度で実現できる。クラウド側のサービスを組み合わせても月額1ドル程度なら、利用者が殺到しそうに思える。

SIGFOXのカバーエリア

 さて話を戻す。SIGFOXのこのサービスは、当然ながら彼ら自身だけでは完結せず、パートナー作りが重要になる。SIGFOXによれば1つの基地局あたり、都市部で半径1〜2Km、郊外だと5〜10Kmのカバーレンジを持つとしており(海上では最大180Km到達したという報告もある)、ある程度のレンジをカバーするためにはそれなりの数の基地局を作る必要がある。これを自前で構築していたら、いくら予算があっても足りないからだ。

 ただ同社は、これを携帯電話の会社と組む事でうまくカバーした。携帯電話の基地局には電源も、インターネットに接続するための回線も、そして見通し範囲の広い鉄塔もあるから、SIGFOXを使えるようにするための追加コストはそうたいしたものではない。SIGFOXが使うISM Bandのアンテナをここに追加しても、既存の携帯電話向けの邪魔にはならないし、例えば1つの基地局に1万台のデバイスが常時ぶら下がったとしても、1日あたりのトラフィックは16MBほどでしかないから、携帯電話のサービスを圧迫する事もない。

 そんな訳で、現在SIGFOXはヨーロッパ6カ国(フランス/アイルランド/ルクセンブルグ/ポルトガル/スペイン/オランダ)全土をフルカバーするとともに、オーストラリア/ベルギー/ブラジル/チェコ/デンマーク/フィンランド/フランス領ポリネシア/ドイツ/イタリア/マルタ島/モーリシャス諸島/メキシコ/ニュージーランド/オマーン/シンガポール/台湾/英国/米国で部分的にサービスを開始している。

photo02 SIGFOXのカバーエリア(一部)

関連キーワード

Sigfox | IoT | 基地局 | 携帯電話 | IoT観測所


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.