小型バイクが減少し始めたバンコクの街並み、次に減るのはピックアップトラックか新興国自動車事情(3)(1/3 ページ)

タイは以前から「アジアのデトロイト」を掲げ、自動車産業の集積と育成を進めてきました。そのかいあってASEAN地域のなかではいち早く、生産拠点としての地位を確立。2015年の国内自動車販売台数は約80万台ですが、生産台数は191万台に達しています。今回はそんなタイの首都で3月末に開催されたバンコクモーターショーと、街の様子を紹介したいと思います。

» 2016年09月23日 11時00分 公開
[古庄速人MONOist]

洗練された郊外の見本市会場が舞台

 バンコクモーターショーはバンコクの北に位置するノンタブリー県の総合イベント施設「インパクト・ムアントンタニ」で毎年開催されています。このあたりはかつての首都空港だったドンムアン国際空港にほど近く、近年になって急速に開発が進んできた地域。モーターショーも広い敷地を求めてバンコク至近の会場から移転し、2011年からここで開催するようになりました。ちなみに初開催は1979年で、2016年は37回目。

モーターショー会場となるイベント施設「インパクト・ムアントンタニ」の展示ホール「チャレンジャー」。即売会でもあるため、奥に広い商談スペースを確保したブースが作られているタイの大規模イベントでは、王室への敬意を表することを欠かさない。モーターショーではコンコースに祭壇を設けるのが通例となっている モーターショー会場となるイベント施設「インパクト・ムアントンタニ」の展示ホール「チャレンジャー」。即売会でもあるため、奥に広い商談スペースを確保したブースが作られている(左)。タイの大規模イベントでは、王室への敬意を表することを欠かさない。モーターショーではコンコースに祭壇を設けるのが通例となっている(右)(クリックして拡大)

 会場となるのは、インパクト・ムアントンタニの中にある「チャレンジャー」という展示ホール。周囲には常設のフードコートやレストランなども充実し、快適な環境です。しかしバンコクの中心部からは20kmほど離れているせいか、市内からタクシーで行こうとすると「インパクトへ」と言っても通じなかったり、遠いからと断られたり。道中の高速道路もよく渋滞するため、地下鉄とバスを乗り継いで会場へ向かう方が得策です。

 アクセスに難のある会場ですが、それでも2週間弱の開催期間中に175万人以上の来場者があるということから、いかにタイの人々がクルマやオートバイに大きな興味を抱いているかを実感できます。モーターショーは展示即売会も兼ねているのですが、主催者によれば2016年の開催期間中の成約台数はおよそ3万2500台だったとのこと。

ピックアップとSUVが人気

 さて、モーターショーの様子に移りましょう。チャレンジャーの展示ホールは6万m2とコンパクトで、この中に自動車と二輪車、部品や用品のメーカーが軒を連ねているわけですが、特徴的なのは業種ごとにきっちりとエリア分けして配置されていること。例えば二輪車を見たければ二輪車ブースが集まるエリアへ行けばよいということで、観衆にとって非常に分かりやすいレイアウトが採用されています。

 自動車メーカーのブースの主役は、積載量1トンの小型ピックアップトラック。統計上は商用車に分類される車種ですが、乗用車よりも税金が安いことと多目的性が重宝され、ビジネス用途からファミリーユースまで幅広い使われ方をしています。ショー会場ではどのメーカーも、ファミリーカーとしての魅力を訴求したダブルキャブの高級グレードを目立つ場所に置いていました。

トヨタ三菱いすゞ 小型ピックアップトラックはビジネスからファミリーまで幅広いユーザーに対応する。トヨタ自動車は最新モデルの「ハイラックス・レヴォ」(左)を重点的にアピール。三菱自動車の「トライトン」(中央)やいすゞ自動車「D-MAX」(右)は人気の高い車種だ(クリックして拡大) 出典:いすゞ自動車
フォーチュナーパジェロスポーツトレイルブレイザー ピックアップと基本骨格を共有するSUVも人気が高まり、積極的に新型車が投入されている。トヨタ自動車の「フォーチュナー」(左)や三菱自動車の「パジェロスポーツ」(中央)は圧倒的な人気を誇る。米国勢も追い上げようと勢いづき、General Motorsはシボレーブランドの「トレイルブレイザー」の上級仕様となる「トレイルブレイザー プレミア」を発表した(右)(クリックして拡大)

 しかしタイ政府は市場の主役をディーゼル人気の高いピックアップから、ガソリンエンジンの乗用車へと移行させようとしています。税制や税率の変更などで価格差を縮めて乗用車シフトを進める背景には、国内で生産される車種をグローバル市場で高い競争力を持つものに転換することで、輸出能力や生産拠点としてのステータスをさらに高めたいという思惑もあるようです。

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