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» 2016年10月25日 06時00分 公開

人口12億人で新車市場は中国の7分の1、これからマイカー普及が進むインド新興国自動車事情(4)(4/5 ページ)

[古庄速人,MONOist]

SUVトレンドはインドにも

 コンパクトセダンだけでなく、世界的に流行しているSUVも人気が高く、さまざまなコンセプトカーや新型車が展示されていました。SUVでも、やはりコンパクトなものが中心ですが、中には3列座席でMPVとして使える大型モデルも。自動車メーカー各社がインドの嗜好をつかもうと試行錯誤している様子が伺えます。

181920 タタはSUVの新モデルも複数公開した。スモールSUVの「ネクソン」(左)は既に発売中の「ボルト」「ゼスト」のプラットフォームから派生させたもの。7人乗りMPVの「ヘキサ」(中央)もまた、従来車種の「アリア」を大幅アップデートしたもので、SUVらしいスタイルに刷新されている。世界的なSUVの流行はインドにも及んでいる。マルチスズキは全長4m未満の新型車「ビターラ ブレッツァ」を初公開(右)(クリックして拡大)
212223 ルノーは発売中の「クウィッド」をベースにしたカスタマイズモデル「クウィッド クライマー」と「クウィッド レーサー」を展示した(左)。フィアットは「プント」をSUVっぽくドレスアップした「アーバンクロス」を公開(中央)。ダットサンの「GO クロスコンセプト」は、コンパクトな7人乗りMPVの「GO+」にSUVとしての機能も加えたクロスオーバーモデルの提案(右)(クリックして拡大)

 トヨタ自動車はMPVの新興国戦略モデル「イノーバ クリスタ」を世界初公開しました。インドネシアではベストセラーとなっている車種ですが、インドでMPVはあくまで実用車という位置付けなのでミニバンがパーソナルカーとして購入されることは多くありません。それでもショー会場での注目度は高く、市場が少しずつ成熟へ向かっているということを示しているのかもしれないと感じました。

2425 トヨタ自動車の本格MPV「イノーバ」は多くの新興国で販売され、インドではMPVカテゴリーでのトップセラーとなっている。今回はフルモデルチェンジされ、「イノーバ クリスタ」としてデビューを飾った(クリックして拡大)

女性の社会進出と二輪車市場

 デリーショーは二輪車や商用車も展示される総合モーターショーです。ここからは二輪車について紹介することにします。現在のインド市場は、スクーターのシェアが拡大を続けています。二輪車全体の販売台数が頭打ちとなる中で、排気量100〜150cc程度のスクーターだけは成長を続けているのです。

2728 女性ユーザーを意識した、丸みを帯びたスタイルを持つスクーターが続々と市場投入されている。2015年に発売されたヤマハ発動機「ファッシーノ」(排気量113cc)は今回、鮮やかなマットカラーを追加(左)。フルモデルチェンジされたスズキ「アクセス」(排気量125cc)は前輪フェンダーもスチール製とするなど質実剛健さを売り物にする(右)(クリックして拡大)

 その理由は、女性の社会進出が進んでいる点にあります。民族衣装のサリーの裾を気にすることなく乗車でき、操作も容易なことからコミューターとして人気を博しています。このため実用性はそのままに、柔らかな曲線で構成されたボディーを持つ新型スクーターが日系ブランドから登場。男性ユーザー向けの新型車とともに、積極的にアピールしていました。

 一方、ヒーローやTVSといった二輪車メーカーの地元勢は、スタイリッシュなスポーツコンセプトを公開しました。これまで日本メーカーの技術を導入することで成長を続けてきた地元の二輪車メーカーですが、近年は独自開発路線にシフト。日系ブランドと競合するようになっています。

2930 地元勢はスポーツモデルの充実を目指す動きを見せた。TVS「X21」(左)は空力性能とスタイリッシュさの両立を目指したスタディーモデル。ヒーローのコンセプトモデル「XF3R」は排気量300ccの単気筒エンジンを搭載した習作。このデザイン要素は今後の市販モデルに盛り込まれることになるという(右)(クリックして拡大)

 ホンダとの合弁を解消した最大手のヒーローは、排気量300cc以上の中/大型モデルへの意欲を見せました。ただし実際の製品が登場するのは、もう少し先のことになりそうです。また、中堅のTVSはヨーロッパからデザイナーを招き、デザイン能力を大きく底上げ。先進国のモデルに劣らない、スタイリッシュなモデルを登場させています。

 実は二輪車に関して、インドは既に重要なグローバル生産拠点としての地位を築いています。日系メーカーではいうに及ばず、Harley-Davidson(ハーレー)やBMW、オーストリアのKTMといったプレミアムブランドもインドで生産し、世界中に輸出するようになっているのです。

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