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» 2016年10月27日 10時00分 公開

“イノベーション思考”で発想が変わる!(2):基本を侮るから上手くいかない 〜まずはMECE〜 (2/2)

[桑山和彦(株式会社VSN VIエキスパート ),MONOist]
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分解要素の抽象度をそろえる

 (1)(2)の空欄には当てはまる単語を、(3)には1つだけ間違いが含まれているので、それを見つけ出してください。

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 分かりましたか? まず、(1)の空欄には「止まる」が入ります。(2)には「現在」ですね。では(3)の間違いはどこでしょうか。

 それは「うどん」です。ここには「麺」と入れるのが正解です。日本人の主食を並べていますが、「うどん」は「麺」の種類の1つ。「米」「パン」と並べると、抽象レベルが異なるのが分かるでしょうか。

 MECEにおけるとても重要なポイントは「抽象レベルをそろえる」ことです。冒頭でも書いたとおり、分解度合いをそろえ、それぞれのレイヤーでモレなくダブりなく分解していくことが重要です。上記(3)で「麺」とすることでその下位レイヤーの「うどん」「そば」「そうめん」などを出すことができますが、「うどん」にした途端、それらの選択肢は存在しないこととなってしまいます。MECEでないことによる発想の制限が生まれてしまうのです。

4つの「論理的順序」を意識する

 抽象レベルをそろえた上で、モレのない分解を行うことは難しいと感じられるかもしれません。しかしそこにはコツがあります。それは「論理的順序」を意識し、並べることです。「論理的順序」には4つしかありませんので、覚えてしまいましょう。

(1)時間の順序 時系列に並べた順序です。
例:
時間の順序:「過去」→「現在」→「未来」

(2)序列の順序 重要度や規模の大きさなど、比較によって並べた順序です。
例:
市場シェアの順序:「トヨタ」→「ホンダ」→「日産」都市規模の順序:「東京」→「大阪」→「福岡」

(3)構造の順序 視覚的な順番、あるいは世の中一般的に決まっている順序です。
例:
地域の順序:「東部」→「中部」→「西部」
方位の順序:「東」→「西」→「南」→「北」

(4)演繹の順序 三段論法と言われる、「大前提→小前提→結論」の順序です。
例:
ビジネス市場環境の順序:「顧客」→「競合」→「自社」

 順序を追うことでダブりがなくなり、モレも起こりにくくなることが分かるかと思います。それでは、次に示す要素群は上記4つのどの順序で並んでいるでしょう?

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 回答は(1)は「時間の順序」。さらには、「小・中・高」という決まった形で口にされる一種のフレームワークという意味では、「構造の順序」とも言えるかもしれません。(2)は「QCD(Quality/Cost/Delivery)」とも呼ばれる順序で、社会一般的に決まっている「構造の順序」です。(3)は「大前提」→「小前提」→「結論」となり、「演繹の順序」。(4)は工程で考えると「時間の順序」とも言えるし、バリューチェーンとして視覚化した場合は「構造の順序」とも言えそうです。

 重ねてになりますが、この「順序」に沿って思考を分解していくと、ダブりやモレを防ぐことができ、「MECE」のルールを守ることができます。「順序」の考え方、理解できましたか?

 いかがでしょうか。実に基本的で当たり前の手法ですが、日常的にこの通りに考え、モレやダブりなく思考を整理し発想を広げることが実践できているでしょうか?大切なのは自身の思考をアウトプットして、思考のクセに気付くこと。基本の「き」をしっかりと身につけ、愚直に毎日行うことが、新しい発想に出会う第一歩です。

 さて、次回は、MECEでありながら、さらにそれらを有用なピラミッドストラクチャーにし、新しい発想を導き出すコツをお伝えします。

筆者プロフィル

株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)

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通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。

2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。

現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなサービスの提供に向けての提案活動を牽引する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/

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