地味にスゴイ! プリント基板の実装品質を左右するメタルマスクママさん設計者の「モノづくり放浪記」(6)(2/9 ページ)

» 2016年11月25日 10時00分 公開

いざ、メタルマスク工場へ

 早速、中に入ってみましょう。まずこちらがメタルマスク工程です。

 メタルマスクは、薄いステンレスの板をメタルマスク専用のファイバーレーザー加工機である「ステンシルレーザー」でカッティングして作られます。

 ちなみにファイバーレーザー加工機については、本連載の第2回『「不良発生率ほぼゼロ」を実現! 精密板金試作の相互的な意思疎通』で少し詳しく解説しています。

データ補正のテクニックが肝心!

 まずこちらのCAD/CAM室では、13人のスタッフが、ガーバーデータ、DXFデータ、ODB++などのフォーマットの異なるあらゆる基板データを受け取り、CAM編集をし、加工プログラムを作成します。使用するソフトウェアはプリント基板データ専用の編集システムです。

 プリント基板のCAM編集においては、パターン補正や面付けには業界内での統一基準がなく、お客さまごとに仕様が異なるため、同社ではそれに準じて都度提案を行いながら、相手先の使用環境や工場スペックに合わせて「モノづくりができる仕様」にきっちり編集・修正をしています。データ上ではどんな絵でも描けてしまいますから、それを製造可能な絵に補正していく作業ということですね。

 メタルマスクのCAM編集に至っては、メタルマスク側を高精度に仕上げても、相手のプリント基板の精度と適合しなければそのマスクは相性不一致で使い物になりません。そのためスタッフは、マスクと基板の精度不整合を打ち消すため、現物の基板に合わせて「あえてマスク側のデータをゆがませて補正する」といった工夫をしています。しかも有り難いことに、短納期を希望の場合はデータ入稿が15時までであれば即日出荷も可能とのことです。

レーザー加工と仕上げ

 レーザー加工室には秘匿性の高い情報が多いとのことで、残念ながら撮影の許可をいただくことは出来ませんでした。ひとまず加工能力を紹介します。最大加工範囲は1350mm×400mm。つまり長さ1000mm以上のメタルマスクの製造が可能です。これはLEDなどの長尺基板用としてニーズが高いとのことです。メタルマスクには、通常SUS304材の0.1〜0.15mmが用いられますが、要望に応じて0.03〜1.0mmの製品加工も可能な環境が整っています。

 次に、出来上がったマスクを枠に貼り、仕上げる工程です。

マスクを仕上げる

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