SIGFOXやLoRaに完全競合する“NB-IoT”こと「LTE Cat.NB1」IoT観測所(28)(3/3 ページ)

» 2016年12月22日 14時00分 公開
[大原雄介MONOist]
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Cat.NB1の長所と短所

 通信モジュールの価格は、Cat.4向けのモデムの15%未満程度で収まることを想定しており、量産に入れば1個当たり300円程度まで価格が下がることも期待できるとする。また消費電力は送受信データ量次第な部分ではあるが、例えば1日数百バイト程度のデータ量であれば、単三電池2本で10年程度の電池寿命も期待できるとする。

 対SIGFOX/LoRaという観点で見ると、メリットとしては、

  • ISM Bandと異なり専用周波数帯を利用できるため、混信などの影響が少ない
  • IP Protocolを載せることも原理上は可能(実際に乗せるかどうかはアプリケーションプロトコル次第)
  • 既存のLTE設備から若干の変更で実装できるので、導入コストが掛からない

といった辺りが挙げられる。

 一方のデメリットは、

  • 現時点ではまだ動作するチップが無い(2017年に登場予定)
  • 若干とはいえ既存のLTE基地局の手直しが必要
  • LTEの周波数帯が国によって異なっている現状を鑑みると、大きく3つに収束するISM Band向けと比べてはるかに周波数のバリエーションが増える

といった辺りになる。

当面は、SIGFOXやLoRaと共存?

 とはいえ、通信事業者各社はCat.NB1に前向きである。例えば国内で言えば、ソフトバンクは11月16日にCat.NB1の実験試験局免許を取得して実証実験を開始している(ニュースリリース)。NTTドコモもこれに先立つ11月15日からLPWA対応IoTゲートウェイ機器の実証実験を開始した事を発表している(ニュースリリース)。ただソフトバンクの場合、LoRaWanのサービスを年内に開始するアナウンスを9月に行っており(ニュースリリース)、要するにどちらも手掛けるつもりであることが明白だ。これは別に国内だけでなく全世界の通信事業者も大体同じ体制であり、どちらか一方が圧倒することなく当面は共存してゆく、という見通しを立てているようだ。

 ところで先にも述べたと通り、8月に標準化されたのはCat.NB1だけではない。この辺りを次回もうちょっとご説明したい。

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