BMW「5シリーズ」も高速道路で自動運転、自動車線変更は日本導入せず自動運転技術

ビー・エム・ダブリューは、7年ぶりのフルモデルチェンジとなるセダン「5シリーズ」の新モデルを発表した。既に発売している「7シリーズ」と同様の高速道路の単一車線での自動運転「ステアリング&レーンコントロールアシスト」を採用、全グレードで標準装備とする。

» 2017年01月13日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
5シリーズの新モデル 5シリーズの新モデル(クリックして拡大)

 ビー・エム・ダブリューは2017年1月12日、東京都内で会見を開き、7年ぶりのフルモデルチェンジとなるセダン「5シリーズ」の新モデルを発表した。既に発売している「7シリーズ」と同様の高速道路の単一車線での自動運転「ステアリング&レーンコントロールアシスト」を採用、全グレードで標準装備とする。運転支援システムを充実させるとともに、先代モデル比100kgの軽量化や空力の最適化によって燃費も改善した。

 一部グレードを除き、2017年2月11日から発売する。税込み希望小売価格は599万円から。

サイドビューフロントビューインテリア 新型5シリーズのサイドビュー(左)とフロントビュー(中央)、インテリア(右)(クリックして拡大)

車線変更機能は日本仕様に設定せず

 7シリーズに続き、5シリーズにも高速道路の単一車線での自動運転を搭載した。運転支援システムのパッケージ「ドライビングアシストプラス」に含まれており、ベースグレードの「523i」から最上級グレードの「540i xDrive」まで標準装備となる。センサーは、前方監視用のステレオカメラの他、ミリ波レーダーを前方に3基、後方に2基装着する。

ステレオカメラミリ波レーダーやソナー ステレオカメラ(左)やミリ波レーダー、ソナー(右)を装着している(クリックして拡大)

 ステアリング&レーンコントロールアシストは、ステレオカメラで車線と前方車両を検知し、自車が車線の中央付近を走行するようステアリングを制御する。ドイツでは、ドライバーが方向指示器を操作すると車線変更を自動で行う機能も搭載されているが、日本仕様には設定していない。なお、方向指示器を使用する自動車線変更は法規上の問題はなく、既に同様の機能を持ったMercedes-Benz「Eクラス」やTesla Motors「モデルS」などが日本市場にも投入されている。

 この他にも、隣接する車線が自車の存在に気付かずに車線変更し、側面衝突の危険がある場合に、ステアリングの自動運転制御で衝突を回避する「アクティブサイドコリジョンプロテクション」も5シリーズの新機能として搭載される。同機能は、車線内の端に寄る制御を行うもので、車線変更は行わない。

 後続車両が自車に衝突する可能性がある場合にハザードランプを高速点灯して注意を促す後車追突警告や、車両や歩行者が死角の多い駐車場やT字路で自車の前後を横切る際に警告する「クロストラフィックウォーニング」も5シリーズとしては新機能となる。

 7シリーズで初採用した、遠隔操作による自動駐車機能はオプションでの設定となる。

燃費は先代モデルから〜割改善

グリルシャッターも空力改善に貢献 グリルシャッターも空力改善に貢献(クリックして拡大)

 新型5シリーズは、軽量化と空力の最適化によって、ディーゼルエンジンを搭載する「523d」でJC08モード燃費は先代モデルの16.6km/l(リットル)から21.5km/lに改善した。車体材料を見直しにより、本国仕様で100kg(日本仕様では80kg)の軽量化を図っている。重量の差は標準装備の内容の違いによるもの。空気抵抗係数(Cd値)は0.25から0.22に低減している。

 トランスミッションは全グレードが8速ATで、排気量2.0lの直列4気筒ガソリン/ディーゼルエンジン、同3.0lの直列6気筒ガソリンエンジンを組み合わせる。523d、直列4気筒ガソリンエンジンの高出力モデル「530i」、ならびに4輪駆動の最上級グレードの540i xDriveはエコカー減税対象となる。

 プラグインハイブリッドモデルの「530e」は、排気量2.0lの直列4気筒ツインターボエンジンと、8速ATと一体化した高出力モーターで構成するシステムだ。容量7.7kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、時速120kmまでの速度域で最大50kmのEV走行(モーターだけでの走行)が可能としている。

 会見の会場では、初代から最新モデルまでの5シリーズを並べて展示した。カッコ内は展示車両の情報。

  • 1972年発表の初代、E12 (1973年式の520)
  • 1981年発表の2代目、E28 (1987年式のM5)
  • 1988年発表の3代目、E34 (1994年式のM5)
  • 1996年発表の4代目、E39 (2000年式のM5)
  • 2003年発表の5代目、E60/E61 (2008年式のM5)
  • 2009年発表の6代目、F07/F11/F10 (2016年式のアクティブハイブリッド)
E12とE28E34、E39、E60E60、F10、G30 初代と2代目(左)。3代目、4代目、5代目(中央)。5代目、6代目と最新モデル(右)(クリックして拡大)

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