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» 2017年01月17日 11時00分 公開

“シンの”トヨタ生産方式とは? 実践事例から学ぶ経営改善の決め手鈴村道場(5)(3/3 ページ)

[エフ・ピー・エム研究所 鈴村尚久/構成:株式会社アムイ 山田浩貢,MONOist]
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4.改善の心得

 そして、改善活動を継続して行い続けるための訓練を実施します。

<着眼点1>単なる「生産改善」として捉えない

  • 土台である「モノづくり」が変われば全社を変えるきっかけになる
  • 単なる改善……部門単位orそれ以下で遂行
  • 変革……全社の各部門が有機的なつながりで実行

<着眼点2>今の評価基準が本当に正しいのか?

  • 間違った在庫削減、原価低減の視点をしていないか?

<着眼点3>改善を進める上での判断基準

  • 利益を生む人は誰か?⇒自社は製造会社なので、作って売ってナンボである事を忘れずに!
  • 顧客にメリットを生まない改善は単なる自己満足⇒最終的な判断基準は「お客さまにメリットがあるか?」が重要

<着眼点4>改善は「守・破・離(しゅはり)」

  • 守・破・離
  • まずやって見る

<着眼点5>真の改善とは

  • 問題発見能力の向上、原因解析能力の向上⇒改善能力を持った人材の育成
図3 図3 シンのトヨタ生産方式導入の手順(クリックで拡大)

5.まとめ

図4 図4 “シンの”トヨタ生産方式の要点(クリックで拡大)

 最後に要点をまとめます。

(1)現状調査がポイント

⇒『自社の本当の問題点、課題は何か』に気付く。

(2)生産管理の常識は正しくない

  • 過大な在庫を持って需要変動に対応×
  • 在庫を持たないのがトヨタ生産方式××
    • →少量の在庫でもレスポンスを素早くすることで対応
  • まとめて作る、まとめて運ぶ×
    • →小まめに、定量ずつ、作る、運ぶ

⇒まず、意識改革が必要。当たる生産計画を立てようとするのでなく、短工期で必要なモノを生産できる工程づくりが大事。生産管理部門の主要な悩みが解決する。ただし、季節変動に対応するやり方もその中にはある(大きく需要が変動する場合の考え方)。

(3)「改善=企業の正常化」の際に考えるべきは順番

  • 質⇒量⇒タイミング⇒コストの順番
    • 質の向上
    • 量の確保
    • 要るもののみタイムリーに作る

⇒コストはほどほどに納まる。それからさらなるコストダウンを行う。

(4)改善手法の習得と実践だけでは不十分

 マラソンに例えるとユニホームや靴を用意して準備運動をした程度。繰り返し練習を重ね、走り込みを行い、タイムをあげて行く事が重要

⇒さらに問題を追及してゆく事が本当の改善活動。改善能力を持った人材育成(経営者レベルの目線に立った考え方の考慮)



 このような形で経営改善を行うことにより、利益や売上が向上するだけでなく、社会貢献できる企業と認められ企業価値向上につながり、社員満足度にも寄与します。

 ぜひ皆さまもこの手法を実践して頂きたいと切に願います。

セミナー『成功事例から学ぶ!「シンのトヨタ生産方式」』開催のお知らせ

成功事例から学ぶ!「シンのトヨタ生産方式」とは

 連載「鈴村道場」筆者の鈴村尚久氏が直々に「シンのトヨタ生産方式」を解説するセミナーを2017年3月17日(金)、東京都内で開催します。

 これまでの連載でも説明した通り、本来のトヨタ生産方式は、製造業の生産改善だけでなく、小売業やサービス業の業務改善にも適用可能であり、企業経営や事業運営の効率向上にも役立てられます。単なる生産コスト削減にとどまらない、もうけを生み出す考え方なのです。本セミナーでは、トヨタ生産方式の達人である鈴村尚久氏による「シンのトヨタ生産方式」の解説と併せて、鈴村氏の指導を受けた企業の成功事例を多数紹介します。自身の所属する企業や事業部でどのように活用すれば良いかを、鈴村氏に直接聞けるように、質疑応答の時間も長めに設定しました。

⇒詳細と参加申し込みはこちら

筆者紹介

エフ・ピー・エム研究所 所長 鈴村尚久(すずむら なおひさ)
e-mail:nao@fpmri.com(メールの際は「@」は半角文字で)

1976年3月京都大学法学部卒業。1976年4月トヨタ自動車入社。退社後1999年8月にエフ・ピー・エム研究所を設立。トヨタ生産方式のコンサルタントとして、はくばく、ピップフジモト、パナソニック、マルヨシセンターなど多くの企業の生産改善を手掛ける。著書に『トヨタ生産方式の逆襲』(文春新書)。父・鈴村喜久男氏(故人)は「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一氏の側近として知られる


筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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