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» 2017年01月18日 13時00分 公開

MONOist 2017年展望:IoTの命運は中小製造業の手に、チャンスの前髪をつかめるか (2/2)

[三島一孝,MONOist]
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中小製造業向けIoTツール集や事例集も

 中小企業がIoT化に踏み切れない理由として、企業規模として財務力に制約がある点や、具体的にIoTで何をやるべきなのか分からない点、これらを実現するのに必要な人材がいないという点などがある。これらを具体的に支援しようという取り組みも広がっている。

 経済産業省およびロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は「中堅・中小製造業向けIoTツール募集イベント」により106件のツールを認定し中小企業向けの「スマートものづくり応援ツール」として展開することを発表した。これは中小製造業でもより簡単に、低コストでIoTが活用できるようなツールを、中小製造業が選定手順にも加わって選んだもの。財務力やIT知見などを備えていない中小製造業で利用できるように、既存のアプリケーションやセンサーモジュールなどの組み合わせが目立っている点が特徴である。

photo 「スマートものづくり応援ツール(PDF)」(クリックでWebサイトへ)出典:RRI

 さらに、中小製造業のIoT活用事例なども募集。身近な中小製造業の身の丈に合った取り組みを紹介することで、中小製造業でも取り組めるIoTの形を訴求する。対象となった事例は、RRIのWebサイトでの「ユースケースオンラインマッピング」に掲載し、国内外への発信を行う他、経産省が発行を予定している「IoT活用事例集」(仮称)や、毎年発刊している「ものづくり白書」への掲載する計画だ※)

※)関連記事:「既にそれ、十分にIoTですよ」、RRIが中堅中小製造業のIoT事例を募集

photo ロボット革命イニシアティブ協議会が公開している事例の「オンラインマッピング(β版)」(クリックでWebサイトへ)出典:ロボット革命イニシアティブ協議会

中小製造業の取り組みが弱い日本

 ドイツのインダストリー4.0と並び、IoTを推進する組織として注目を集めるインダストリアルインターネットコンソーシアム(以下IIC)のエグゼクティブディレクターのリチャード・マーク・ソーレイ(Richard Mark Soley)氏は「IIC全体でいえば、参加企業の半分が大企業、半分が中小企業という構成となっている。しかし、日本からの参加企業はほとんどが大企業である。こうした状況は非常に残念だ。IoTは中小企業にこそ大きなチャンスがあると考えている。革新はいつでもベンチャー企業や中小企業から生まれるからだ」とコメントを述べていた。

 現在の日本政府による支援の取り組みは中小製造業にとってもチャンスであるといえる。政府や大手製造業などの支援を活用しながら、IoTを自社の生産革新などに取り込むことができるためだ。IoT活用の成功事例はほとんどが「現場の問題解決」を起点としている。その意味では、中小製造業の課題解決は中小製造業にしかできず、中小製造業独自の成功の形が存在するはずだ。2017年はこうした先進的な中小製造業のIoT活用の取り組みが世界に発信される年となることを期待したい。

⇒「MONOist 2017年展望」記事はこちら

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