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» 2017年01月26日 13時00分 公開

ロボデックス:社会問題解決のショーケースへ、「ロボット大国」実現に向けた政策支援 (2/2)

[長町基,MONOist]
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経産省の支援策

 経産省でもロボット推進のために「実用化段階にある技術の導入加速」「職場ニーズに即応した市場化技術開発」「広い分野で利用可能な次世代ロボット技術開発」の3つのフェーズを強化している。また、横断的な取り組みとして実証環境の整備、規制緩和、必要な安全規制の構築、標準化の推進を行う。具体的なロボット導入実証事業としては、モノづくり分野やサービス分野におけるロボット未活用領域へのロボット導入の実証を行う事業者に対して5000万円を上限に実証事業に要する費用の一部を補助している。また、同じくロボット未活用領域へ、ロボット導入についての実現可能性調査を行う費用も500万円を上限に補助を行う。さらに、市街地や空港など公共空間においてサービスを提供するロボットの社会実装に向けた実証に要する費用の一部を補助している。

 「こうした取り組みの結果、例えば南部鉄器で鉄急須のホーロー工程にロボットが導入されたり、ブナシメジの収穫工程にロボットが利用されたりするなどの成果も出てきている」(安田氏)という。こうした事例をまとめた事例集はWebサイト(PDF)などでも紹介している。

 政府の「改革2020」プロジェクトの中の1つとして、「先端ロボット技術によるユニバーサル未来社会の実現」という目標が掲げられており、その中では羽田空港旅客ターミナルで案内、清掃、モビリティなどのサービスロボットの実証を推進中だ。これらに並行してロボット活用にかかわる安全基準やルール作りも進められている。

 ロボットシステムの構想、設計、導入を担うシステムインテグレーターの重要性も認識し、ユーザーとシステムインテグレーターをつなぐマッチングサイト「ロボット活用ナビ」を開設。そこではさまざまな分野でのロボット活用事例やシステムインテグレーターが地域、実施業務、得意分野などの条件で検索が可能だ。さらに、「システムインテグレーターに対して実際にロボットを購入して、ユーザーへの提案ができるように、補助する制度も実施するようにしている」(安田氏)としている。

 ロボット介護機器の開発、導入促進についても移乗介護、移動支援、排せつ支援、認知症の方の見守り、入浴支援の5つを重点分野において機器の開発を進めており、重量物を持った時に腰にかかる負荷を軽減することで、腰痛になるリスクを減少させる機器の開発も実現した。

ドローンなども含む大きな市場へ

 次世代社会インフラ用ロボットでは、橋梁、トンネルなどの維持管理や災害状況調査の分野で開発を進めている。この他、実証環境の整備のため、物流やインフラ点検、大規模災害に対応する陸海空のロボットの一大拠点として、福島県南相馬市および浪江町にロボットテストフィールドを設け、ドローン向けの滑走路の整備を進めている。ドローンは用途別ではその過半を空撮が占め、地形の測量やインフラ点検、農薬散布への活用が広がり始めている。

 今後は、災害対策の対応などの行政関係や「目視外」の荷物配送などにも広がる見込みだ。世界の市場規模は2020年に6600億円超。日本市場は2020年に200億円弱、2030年に1000億円を超えると予測される。ただ、市場の9割以上をドローンの機体ではなく、それを使ったサービスが占めるとみられている。そのため、政府では「早ければ3年以内にドローンを使った荷物輸送を目指す」(安田氏)という目的を掲げて、その実現に向けて小型無人機に関係する環境整備に向けた官民協議会を立ち上げ、議論を進めている。

 このように政府では戦略分野を絞り、実効性のある計画を立てて2020年にはロボットでさまざまな社会課題を解決する日本の姿をロボット利活用のショーケースとして世界に発信する方針だ。

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