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» 2017年02月03日 14時00分 公開

海外医療技術トレンド(21):米国医師会のエビデンスに基づくモバイルヘルス戦略 (2/3)

[笹原英司,MONOist]

医療専門家の連携によるモバイルヘルス利活用の仕組みづくり

 AMAの医療サービス評議会の報告書では、以下の12項目について提言を行っている。

  1. AMAは「ポリシー H-480.946」を再確認して、遠隔医療サービスの適正な適用と支払の指針となる原則を示す
  2. AMAは「ポリシー H-100.980」を再確認して、強力かつ十分な資金を備えたFDAが、安全かつ効果的な医療機器が製造されていることを保証し、米国の公衆ができるかぎり効率的に利用できるように支援する
  3. AMAは、患者、医師およびその他の供給者による、モバイルヘルスアプリケーションおよび関連する機器、追跡装置、センサーの利用を支援するような保障、支払および経済インセンティブの仕組みの創設を支援する
  4. AMAは、モバイルヘルスアプリケーションおよび関連する機器、追跡装置、センサーが、患者の医療情報のプライバシーとセキュリティの取扱いに適用される法律を順守するよう支援する
  5. AMAは、モバイルアプリケーション産業およびその他の関連するステークホルダーに対し、業界ぐるみのアウトリーチを行い、患者に必要な教材を提供するよう奨励し、モバイルヘルスアプリケーションから供給される情報やデータのプライバシーとセキュリティのレベル変化や、情報やデータを潜在的に収集・利用できる方法についての認識を高めることを促進する
  6. AMAは、モバイルアプリケーションコミュニティーに対し、全国的な医療専門家組織およびその他の関係医師グループと協業して、アプリケーションが保護対象保健情報の収集、保存、転送を行う場合の標準的なプライバシー告知など、アプリケーションの透明性原則を構築するよう奨励する
  7. AMAは、医師に対し、モバイルヘルスアプリケーションが、医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)の基準を満たしているかどうか不確かな場合、有資格者の法律顧問と相談すること、またプライバシーとセキュリティに適用される州法について問い合わせするよう奨励する
  8. AMAは、医師に対し、医師が処方または推奨するモバイルヘルスアプリケーションのプライバシーとセキュリティに関する潜在的リスクについて患者に注意し、患者のリスクに対する理解を文書化するよう奨励する
  9. AMAは、連邦政府および州の所管する医療責任、プライバシー、セキュリティに関する法など、モバイルヘルスアプリケーションを利用、推奨、または処方する際に、医師に及ぶ潜在的な責任のリスクを評価する
  10. AMAは、モバイルヘルスアプリケーションの利用または推奨による医師の潜在的な責任のリスクを軽減するために、州法や連邦法およびその他の先進的な代替手段の実行可能性を評価する
  11. AMAは、モバイルヘルスアプリケーションが、品質、費用、患者安全、患者のプライバシーに及ぼす影響に関する研究やエビデンスの構築を支援する
  12. AMAは、全国的な医療専門家組織に対し、モバイルヘルスアプリケーションおよび関連する機器の医療供給への統合のためのガイドラインを構築するよう奨励する

 また、医療評議会は、モバイルヘルスアプリケーションやデジタルヘルス機器の普及を促進する経済メカニズムを構築するために、以下のような施策を掲げている。

  • a)患者と医師の間の妥当な関係の確立と継続を支援する
  • b)モバイルヘルスアプリケーションの安全性と効果を保証するために、質の高い臨床的エビデンスの基礎をつくる
  • c)患者の安全、治療の質、ポジティブな医療アウトカムを保証するために、利用可能な範囲で、エビデンスに基づく診療ガイドラインに従う
  • d)患者中心で、ケアコーディネーションを促進し、チームによるコミュニケーションを容易にする医療の提供を支援する
  • e)メディカルホームとアカウンタブルケアのモデルを通して、ケアコーディネーションを促進するために、データの可搬性と相互運用性を支援する
  • f)患者がアプリケーションによって促進されるサービスを受ける州の免許法、医療法、要求事項を順守する
  • g)アプリケーションを通してサービスを提供する医師およびその他の医療関係者は、患者がサービスを受ける州において免許を受けるか、さもなければ州の医事委員会によって認定されたサービスを提供する必要がある
  • h)アプリケーションを介したいかなるサービスも、業法における州の対象範囲と一貫性があることを保証する

 この報告書を踏まえて、AMAは2016年11月16日、モバイルヘルスアプリケーションやデジタルヘルス機器の安全で効果的な利用に関する原則を採択したことを発表した(関連情報)。

 そして同年12月12日には、AMAと米国心臓病協会(AHA)、医療情報管理システム学会(HIMSS)、DHXグループが共同で、モバイルヘルスアプリケーションの品質、安全性、効果を向上させることを目標とする非営利組織として、「Xcertia」を創設することを発表した(関連情報)。Xcertiaは、アプリケーションの評価ガイドラインを開発する予定である。

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