特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?いまさら聞けない第4次産業革命(10)(1/4 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。

» 2017年02月10日 15時00分 公開
[三島一孝MONOist]

本連載の趣旨

 「第4次産業革命」や「インダストリー4.0」などの言葉を聞かない日はないほど、大きな注目を集めています。4番目の産業革命とされている通り、製造業の業態についても大きな影響を与える「第4次産業革命」ですが、その認識レベルや捉え方は置かれている立場や状況で大きく異なります。また「第4次産業革命とは結局何?」という人から「抽象論は分かったから具体的な技術の話が聞きたい」など求める情報レベルも大きく幅があるように感じています。

 そこで本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介していきたいと考えています。ただ、単純に解説していくだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介していくつもりです。

※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoTによる製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


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米国 好男(よねぐに よしお)

米国の第4次産業革命関係の事情に詳しい調査会社の社員。印出さんと交流がある。アメリカ好きがとことんまで極まっているが、東京・浅草生まれの生粋の日本人である。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

第9回:「国家間バトルはもう十分、加速する政府の枠組み作り

あらすじ背景

 従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。


 さて前回は、2016年に大きく動いた国家間連携や国際連携の枠組みについてについて紹介しました。簡単に振り返ってみましょう。

 前回の矢面氏は、ドイツのIT関連の展示会「CeBIT」で日本がパートナーカントリーになった件から、日本とドイツの政府間連携の話について語っています。

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それにしても、インダストリー4.0に関連する動きでは最近、日本とドイツが協力するような動きがたくさん出ていますよね。


 それに対して印出さんは2016年4月に締結されたIoTおよび第4次産業革命における6項目の覚書について紹介しています。

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以前から協力の枠組みはあったけれど、2016年4月に政府間で覚書※)を結んでからさまざまな動きが具体化したといえるわね。


※)関連記事:インダストリー4.0における“世界の軸”へ、日独連携の潜在力

 また、日本とドイツの協力だけでなく、日米での連携も進んでいると米国さんが指摘していたんでしたね。

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ちょっとちょっと、米国との関係も忘れないでくだサーイ。2016年10月には、インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)と、IoT推進コンソーシアムとで協力する覚書を結んでマース。


 米国発で現在はグローバルでの活動を推進しているインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)と、経済産業省と総務省が作ったIoT推進コンソーシアムが、2016年10月に協力することを発表しています※)

※)関連記事:IoTで新たに日米連携、日独米の協力体制構築へ

 既にこうした状況を見ても世界中が同じ土台を作ろうと動き始めているといえます。第4次産業革命は基本的には、産業界の動きですが、自国産業の振興という点の他、セキュリティやデータ活用の枠組み、雇用問題や教育の問題など、国家や地域性なども反映した枠組みが必須となります。これらの共通課題部分については、協力して早期の市場づくりを進めた方が良いという考え方に政府はシフトしているといえるでしょう。

 さて今回は、第4次産業革命に関連して、多くのITベンダーや機器メーカー、デバイスメーカーなどが発表している「IoTプラットフォーム」について説明していきたいと思います。

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