組み込みソフトウェアの開発時間を削減する次世代エミュレータを発売組み込み開発ニュース

ルネサス エレクトロニクスは、同社製マイコン用のオンチップデバッギングエミュレータ「E2エミュレータ」を発売した。ソフトウェア開発に必要な付加機能を統合し、開発時間を従来の10分の1程度に削減する。

» 2017年02月24日 08時00分 公開
[MONOist]

 ルネサス エレクトロニクスは2017年2月9日、同社製マイコン用のオンチップデバッギングエミュレータ「E2エミュレータ」を発売した。ソフトウェア開発に必要な付加機能を統合し、組み込みソフトウェアの開発時間を従来の10分の1程度に削減する。

 E2エミュレータは、マイコンとエミュレータ間の通信速度を高速化し、フラッシュ書き換えとデータ通信を並列化した。これにより、制御プログラムのダウンロード速度が同社従来品比で最大2倍になっている。

 また、業界初のCAN通信応答時間計測ソリューションを提供する。これは、CAN通信で問題が発生した時に、受信タイミングと割り込み応答処理を同時に記録・表示して、CAN通信とプログラムの相関関係を明確にするものだ。エミュレータのみでCAN通信とプログラム実行のトレース解析ができるので、原因特定に要する時間が短縮する。

 さらに、車載システムの低消費電力化に対応して、エミュレータからマイコンへ供給する制御系電源の電流量を測定する機能を搭載。消費電流のピーク検出や、電流値が指定のレベルを一定時間超えるとプログラムを停止させたり、プログラム動作と消費電流を対応させて表示したりできるようになった。これらにより、制御系消費電流の増加要因をエミュレータだけで容易に特定でき、チューニングにかかっていた時間を減らせる。

 E2エミュレータのボードインタフェースは、既存製品のE1エミュレータと互換性があり、E1エミュレータ用のボードを接続できる。また、追加のアダプターがなくてもホットプラグイン機能が利用可能になった。

 同製品は、車載用マイコン「RH850」ファミリー向けの基本機能に対応する。2017年7月から、「RX」「RL78」ファミリーにも対応範囲を順次拡大していく。

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