オールジャパンでドローン運航、楽天やJAXAなど参加のプロジェクト始動ドローン

NEDOは、新たにドローンの安全な飛行とドローンを利用したサービス産業創出に向けて、無人運航管理システムの開発に着手した。開発期間は3年で、NEC、NTTデータ、日立製作所、NTTドコモ、楽天が参加する。全体の制度設計などはJAXAが行う。

» 2017年06月16日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年6月15日、ロボットやドローン(無人航空機)の社会実装を加速させる新たな研究開発の1つとして、ドローンの運航管理システムの開発に着手することを発表した。

 今回開発を目指すのは、都市での安全な荷物配送などの実現に向けたドローンの運航管理システムの開発である。具体的には「情報提供機能」「運航管理機能」「運航管理統合機能」で構成され、同一空域の多数ドローン飛行の安全性をサポートする他、複数の用途や事業者との接続を想定するということを条件としている。飛行試験については福島県の「福島ロボットテストフィールド」で実施する。

photo 運航管理システム構成する3つの機能(クリックで拡大)出典:NEDO

 これらの3つの機能に対し、運航管理機能の、物流サービスについては楽天、通信サービスについてはNTTドコモが開発を担う。また運航管理統合機能については、フライト管理をNEC、空域情報管理をNTTデータ、運航状況管理を日立製作所が開発する。一方、運航管理システムの全体設計に関する研究開発については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が取り組む。

photo 3つの機能に関する参加企業の役割(クリックで拡大)出典:NEDO

 2017年度は、運行管理システムの設計、運用ルールの策定、インタフェース設計を実施。2018年度に運航管理システムの試作と福島ロボットテストフィールドで部分的なシステム評価を開始し、2019年度に本格的な運用による実証実験を行う計画である。

photo NEDO理事長の古川一夫氏

 福島ロボットテストフィールドには、南相馬市と浪江町の間の13kmのテストフィールドを用意した。2019年度には、目視外の状況で複数の運航管理機能で管理された複数機体製造事業者のドローン10台以上を物流などの利用シーンで衝突させずに運行することを目指しているという。

 NEDO理事長の古川一夫氏は「NEDOは産官学の結節点となって革新的な産業を起こすことが1つの役割である。インダストリー4.0やSociety5.0などの流れの中で人工知能(AI)やロボティクスなどで新たな技術が生まれており、ドローンはその象徴的な存在だ。ドローンを社会実装するには複数のドローンが自由自在に飛べるようにならないといけない。そのためにキーになるのが運航管理システムだ。日本でも各社が技術を持っており、オールジャパンで世界に誇るドローン運航管理システムを作り上げ、できるだけ早く実用化フェーズに持っていきたい」と抱負を述べる。

photo 今回のプロジェクトの主要参加メンバー

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