乗り比べて分かった、三菱ふそうとUDトラックスの「思想」の違い乗って解説(2/4 ページ)

» 2017年07月07日 06時00分 公開
[高根英幸MONOist]

テストコースで先進装備と走りをチェック

メルセデスベンツ「Cクラス」を伴走させて、ACC「プロキシミティ・コントロール・アシスト」や「アクティブ・サイドガード・アシスト」を体験した メルセデスベンツ「Cクラス」を伴走させて、ACC「プロキシミティ・コントロール・アシスト」や「アクティブ・サイドガード・アシスト」を体験した(クリックして拡大)

 この新型スーパーグレート、発売前の量産試作車をテストコースで試乗する機会を得た。まずは充実した運転支援システムのデモを見せてもらう。アダプティブクルーズコントロールは前走車追従機能が追加されたことで、渋滞時には停止と発進の繰り返しでも神経をすり減らさずに済むようになった。2秒以上停止した場合は、発進時に復帰ボタンを押す必要があるが、それも居眠り運転を防止するためだと思えば当然の仕様だ。

 サイドガードアシストは左にウインカーを出した際に、左側方に車両などがいると判断すればピラーに組み込まれたランプが黄色から赤に変わって、警告する。左側のバックミラーを見れば自然に視界に入る位置にあるため、ランプの確認は自然にできる。

 続いて登坂路を使ってクリープとヒルホールド機能を体験する。登り坂の途中で軽くブレーキペダルを踏んで停止させた直後にペダルを緩めると、ジワジワと前に進んでいく。空荷の状態ではなく総重量25トンの規定重量まで積載した状態で、この力強さとスロースピードを両立させるには、かなりクラッチの制御が難しかったそうだ。

 しっかりとブレーキを踏んで停止させるとヒルホールドの状態になり、アクセルを踏み込むだけで坂道発進ができるようになる。この2つの機能の使い分けは、エアブレーキに慣れない素人にはやや難しかった。そもそも制動力が高く、登り坂なので停止しやすいためクリープ状態にするのにはコツがいる。

高速周回路を走行する新型スーパーグレート。総重量25トンの状態でも時速90kmのクルージングは余裕を感じさせた 高速周回路を走行する新型スーパーグレート。総重量25トンの状態でも時速90kmのクルージングは余裕を感じさせた(クリックして拡大)

 いよいよ高速周回路での試乗である。まずは排気量7.7lエンジンを搭載した仕様に乗ってみる。総重量25トンまで荷台にウエイトを積んだ状態でも、普通に加速していく。軽いが嵩の張る荷物を積んだり、平たん路が多いような使い方では十分な動力性能を確保していることは分かった。

 高速周回路とはいっても、長年の酷使で路面は継ぎ接ぎだらけで凹凸も多く、時速90kmでの巡航はかなり車体にも振動が伝わる。走りは安定しているが、シートのエアサスペンションはダンパーを最強にしていてもユサユサと上下に揺すられる。サスペンションを固定することもできるが、シートベルトがシート内蔵型になったことから、揺すられてもベルトが擦れることがないため、不快な印象はなかった。

 続いて排気量10.7lのエンジンを搭載した仕様にも乗ってみた。乗用車のようにエンジンの回転上昇が速いわけではないので、発進時は低いギアのために加速Gが立ち上がってこないが、ギアを上げても回転上昇が鈍らないため徐々に速さを感じさせる。エンジン音もドリュリュリューと、滑らかかつすごみを感じさせる低音を響かせて、なかなか迫力があった。

UDトラックス・クオンをサーキットで試乗!

富士スピードウェイのメインストレートを疾走するUDトラックス「クオン」の新モデル。ストレートではACCを使い、時速90kmでの巡航や設定変更による加減速も試せた 富士スピードウェイのメインストレートを疾走するUDトラックス「クオン」の新モデル。ストレートではACCを使い、時速90kmでの巡航や設定変更による加減速も試せた(クリックして拡大)

 13年ぶりにフルモデルチェンジしたUDトラックス「クオン」にも試乗する機会を得た。ところが、こちらの試乗の舞台はなんとサーキット。それもF1グランプリを開催したこともある、あの富士スピードウェイだ。日本のモータースポーツの歴史を創ってきた由緒ある名コースを何台もの大型トラックが走行するのは、どう考えても初めてのこと。UDトラックスがこのような大胆な試乗会を開催したのは、もちろんクオンの走りっぷりに自信があるからだろう。

 富士スピードウェイのメインストレートは若干の下り勾配。そのため20トンの総重量でも発進はECUが自動的に3速を選び、悠々と発進していく。こちらはAMTでもブレーキを離すだけでゆっくりと進むAT車のようなクリープはあえて設定していない。正確には、後退時にのみクラッチ板を近づけておいて瞬間的に軽く接触させることで弱いクリープを作り、さらにアクセルによるスピードコントロールを容易にしている。前進時にはクリープを発生させないのはクラッチ板の摩耗を抑えるためだ。

 そのまま加速させていくと、スーパーグレートよりダイレクト感の高いシフトフィールを伝えてくる。それでもまったく不快ではなく、むしろ節度を感じるほどで、いかに微妙な制御で変速やクラッチ操作を行っているか分かる。セレクターゲートが通常のAT車のようにストレート型になっているのも特徴的だ。

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