デジタルツインを実現するCAEの真価

統合進むCAE業界、各社がプラットフォームや設計者CAEをアピールDMS2017まとめ(3/4 ページ)

» 2017年07月21日 13時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 プレス成形や溶接、鍛造などの生産現場向けCAEを紹介していたのはJSOLだ。プレス成形シミュレーションツール「JSTAMP」は衝撃解析の「LS-Dyna」を中核ソルバーとして開発されたツール。

JSTAMPで材料のサイズ違いによるプレス成形の成形性を事前に把握し、トライ数を削減した例。1,2は割れ、4はしわが発生している。シミュレーションにより実際には2つは試作せず最終製品を作ることができた。

 生産現場では金型を1つ減らすことができればCAEは十分有効なツールになりうる。一方で解析ツールは専門用語が多く、習得に掛けられる時間もあまりない。そこでJSTAMPは現場の言葉への置き換えや、実験データと比較しやすいようなUIの作り込みを徹底している。

 近年は各種繊維プラスチックなど新たな材料が登場しており、樹脂の配合も多様だ。今までの生産方法を検討し直す必要が出てくることから、生産系CAEを使った事前検討のニーズは高まっているという。

 計測エンジニアリングシステムは、スウェーデンのCOMSOL社の有限要素法マルチフィジクス解析ソフトウェア「COMSOL Multiphysics」が伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提供するクラウドHPCプラットフォーム「Rescale」で利用できることをアピールしていた。Rescaleは従量制で各種CAEが利用できるサービス。現在200以上の商用およびオープンソースのCAEを利用できる。

 またCOMSOL Multiphysicsに用意されている「Application Builder」の採用数も増えているという。Application Builderはシミュレーションモデルをアプリケーション化するツール。用途を限定し、容易に入力できるUIを作成することで、専門家でなくても異なる条件における解析を実行することが可能だ。解析や結果の閲覧はiPadなどのモバイル端末でも行えるため、製品の設置現場や製造現場、営業先でシミュレーションを行うといった使い方ができる。

国産の粉体解析・最適化ソフトが登場

 2017年に入ってから発売したソフトウェアを会場で紹介していたのが構造計画研究所だ。

Hirameki Worksで真っすぐの脚を持つテーブルの形状最適化を行った結果。右は中段の横棒部分を拡大している。緑の部分に見られるほどの大きな変形も可能。海外展開を意識した名称にしたという。

 「Hirameki Works」は、ダッソーの「SolidWorks Simulation」上で使える構造最適化ソフトウェア。ノンパラメトリック構造最適化技術を持つ、くいんとと共同開発した。特徴の1つは、トポロジー最適化だけでなく形状最適化も行えることである。形状最適化は、図のように大きな変形も可能。また最適化を行った後のデータを、そのまま3次元CADのSolidWorksに戻すことができる。

iGRAFで粉体-気体の流動層モデルにおける連成例。デモではほかに複雑な形状のリボンミキサーやスクリュー搬送、二軸混錬機などのシミュレーションを紹介していた。

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