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» 2017年09月15日 09時00分 公開

“本当に進む”問題解決〜現場のコンサル力で事業を変える(5):その案、全てを網羅してますか? 演習&コツで「演繹法」をマスター (3/3)

[馬場秀樹(株式会社VSN),MONOist]
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“中間概念”はありませんか?

 各末端の部分は同じ発想で広げていくだけなのですが、演繹法には大きな落とし穴があります。それは、「中間概念が抜けるとMECEが崩れ、網羅の幅が大きく損なわれる」ということです。

 ここでは、「売り上げを増やす」の構成要素を再検証しましょう。直下にくる「平均受注金額を上げる」「受注数を増やす」「今までもらっていなかった工数でお金をもらう」は全て「既存のビジネス」からの売り上げです。新しくビジネスを始めるのであれば、全く異なる売り上げとなるでしょう。また他社を買収すれば、初めから売り上げが出るビジネスが手に入ります。

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 このように「中間概念はないだろうか」という発想で上位の概念を見ることでより幅広く網羅することができるようになります。また、「他社を買収して売り上げを増やす」にフレームワークとして「上・中・下」を入れることで、「上位の商流を買収」「下位の商流を買収」「中位=競合を買収」といった形でMECEが成り立ちます。

 このような発想で演繹法を行うことで、以下のように「営業利益を2倍にする」でさまざまな手段が出てきます。(実際にはもっと具体的にすべきですが、ここでは省略します)

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 1か所だけ1段深く掘り下げて「ソリューション第1事業部の営業部門の受注を増やす……」と3つの方法を記載していますが、初めに立ち返ると、常識の範囲内としてその部分しか考えていなかったことになります。今回はあえて「検討の上での基礎情報」を挙げていますが、それがなかったらどうでしょうか。おそらく皆さんの思考の幅はもうすこし広がったはずです。しかし、現実世界では基礎情報のような“常識”が存在し、皆さんの思考に心理的な制限がかかっています。それを「中間概念は本当にないだろうか?」という発想で打破することが演繹法成功の秘訣です。

 なお、「原価を減らす」「販管費を減らす」はあえて省略しました。この2つは初めから予算項目が決まっていますので、その予算項目を構成している要素しかありません。このように既に構造が存在するものにわざわざ演繹法を使用して悩む必要はありません。

 いかがでしたか? 既存の情報のみを使用する帰納法とは異なり、演繹法はどんどん広がっていくのでより奥の深い手法です。特に中間概念が抜けないように気を付け、MECEを崩さず行うことが成功の秘訣です。演繹法は問題解決に限らず、「今度の休暇では何をして過ごすか」「恋人にプレゼントとして何を上げるか」「将来どうなりたいか」など、さまざまなことに応用できますので、ぜひ皆さん自身でテーマを決めて演繹法を試してみてください。やればやるほど上達しますよ!

筆者プロフィル

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/


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