オシロとデータレコーダを融合した計測器が「現場」で使える可搬型に進化スコープコーダ

オシロスコープとデータレコーダの機能を融合した横河計測の「スコープコーダ」は、自動車業界を中心に、主に実験室における研究開発用途で広く利用されてきた。シリーズ初のバッテリ駆動が可能な可搬型の最新モデル「DL350」は、実車評価や工場設備のメンテナンスなど「現場」での利用を主眼に開発された。

» 2017年10月02日 10時00分 公開
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 多種類の信号を高信頼、高精度かつ長時間で測定/記録できる横河計測の「スコープコーダ」は、大手自動車メーカーやメガサプライヤーなどの自動車業界を中心に、主に実験室における研究開発用途で広く利用されてきた。そのスコープコーダの最新モデルとして2017年6月に発売されたDL350は、従来製品のDL850E/DL850EVと比べて大幅な小型軽量化を果たして可搬性を高めるとともに、シリーズ初のバッテリ駆動やタッチパネル操作によるユーザーインタフェースといった「現場」での利用を主眼として開発した製品である。その上で、価格も従来製品のほぼ半額に抑えた。

※横河メータ&インスツルメンツ株式会社は、2017年10月1日に、社名を横河計測株式会社に変更

「現場」での利用を主眼として開発した「DL350」 「現場」での利用を主眼として開発した「DL350」

20年以上の歴史を積み重ね

 スコープコーダの最大の特徴である、高電圧の電気信号や加速度・温度など物理信号を多チャネルかつ絶縁で長時間測定/記録し、解析するという「All in One」のコンセプトは、1990年以前に発売されたアナライジングレコーダ「ARシリーズ」から始まる。

 データレコーダベースの製品だったARシリーズを第0世代とすると、オシロスコープの操作性を持たせた「DL708/DL716」が第1世代となる。そして、第2世代となる「DL750」から、現在のブランド名である「スコープコーダ」が採用された。オシロスコープとデータレコーダ、両方の“いいとこ取り”となる新ジャンルの製品をイメージしたネーミングであり、採用実績を積み上げていく中で高い認知も得られている。

 世代を重ねるごとに、高速化、高分解能化といった顧客の求める機能向上を図ってきたスコープコーダだが、その中で大きな資産となっているのが機能拡張用プラグインモジュールの数々だ。2013年に発売した第3世代のDL850E/DL850EVで利用可能な20種類のプラグインモジュールは、そのほとんどが最新モデルとなるDL350にも組み込むことができる。

「現場」での使いやすさに配慮したユーザーインタフェース

 実験室における研究開発で広く利用されてきたスコープコーダだが、その高信頼性・高精度な測定機能を現場で使いたいという要望は強かった。

 この要望に応えて開発されたのがDL350である。開発コンセプトは「上位機種のDL850E/DL850EVから何も犠牲にしない」。小型軽量化による可搬性の向上とバッテリ駆動を実現しつつ、上位機種と同等の耐ノイズ性能も確保する。その上で、競合製品となるハンディータイプのオシロスコープなどに対して競争力のある販売価格とする。DL850E/DL850EVと比べて小型軽量かつ安価になるが、「安かろう悪かろうなどという製品には決してしない」という決意のもとで開発が進められた。

現場での利用に主眼を置いた「DL350」(左)と実験室での研究開発に用いられている「DL850E/DL850EV」の違い 現場での利用に主眼を置いた「DL350」(左)と実験室での研究開発に用いられている「DL850E/DL850EV」の違い。ほとんどのプラグインモジュールは共通して利用できる(クリックで拡大)

 DL350を開発する上で大きな課題となったのがユーザーインタフェースである。DL850E/DL850EVは、スコープコーダのもともとのコンセプトであるオシロスコープの操作性を実現するため、ボタンやノブを使ったユーザーインタフェースになっている。しかし、現場で使うDL350では、ボタンやノブによる複雑な操作は適していない上に、小型軽量化の足かせにもなる。

 そこで、ボタンやノブに替えて採用することにしたのがタッチパネルだ。しかし、スマートフォンなどで用いられている静電容量方式のタッチパネルの場合、インバータのような高速高電圧スイッチングを行う機器のノイズに影響されやすく、誤動作を引き起こしてしまう。特に、測定器を接地せずにバッテリ駆動する場合は、その影響が顕著に現れる。一方で、ノイズに強い抵抗膜方式の場合、一般にスマートフォンのような自由度の高い操作性を実現しにくいという課題がある。

 厳しいノイズ環境下での安定動作とタッチパネルの操作性を両立させる方法の模索が始まった。まず、原理的にノイズに弱い静電容量方式は選択肢から外された。そして、抵抗膜方式でいかに使いやすい操作性を実現できるかという開発の日々が続いた。最終的に、最新型の抵抗膜方式タッチパネルの採用と周辺回路、制御ソフトウェアの最適化により、スマートフォンと同様の2点タッチを含む、スムーズで分かりやすい操作性を実現することができた。抵抗膜方式を採用したことで手袋を付けての操作も可能になり、現場での使い易さの向上にもつながった。

 DL350は、スコープコーダの特徴の1つである長時間記録にも対応している。1スロットあたり100Mポイントの大容量メモリーを搭載しており、最長20日の記録が可能。SDカードへは、1スロットあたり最大5Gポイント、最長50日のリアルタイム記録が可能だ。

 計測をサポートするソフトウェアも充実している。PCとDL350との間で、セットアップやデータのバックアップなどをサポートする「DL350 アシスタントソフトウェア」を無償で配布している。さらに、PC上でDL350やDL850E/DL850EVのデータを表示できる「XviewerLITE」(無償)、表示に加えて解析やリモート制御が可能な「Xviewer」(有償)を用意している。

 DL350の外形寸法は305×217×92mmで、フットプリントはA4用紙相当になる。重量は、バッテリと2個のスロットにプラグインモジュールを装着した状態で3.9kg。DL850E/DL850EVと比べて、体積は60%減、重量は半減した。そして本体価格は34万2000円(税別)となった。DL850E/DL850EVが62万〜67万円なので、ほぼ半額になったことになる。

完成車の実車評価に最適

 DL350が想定する用途は多岐にわたるが、代表的なものを2つ挙げる。1つは自動車業界向けで、完成車の実車評価用となる。もう1つは、工場やプラントなどの設備メンテナンス用だ。

 まず、完成車の実車評価については、設置スペースや駆動電源の制約が多い自動車業界から強く求められてきたものだ。DL350は小型軽量化のため、プラグインモジュールを組み込むスロット数が、研究開発に用いられるDL850E/DL850EVの8スロットに対して2スロットと少ない。ただし、完成車の実車評価の中でも測定対象が一定程度まで絞られるものについては、2スロットでも十分な測定が可能だ。例えば、4チャネル絶縁モジュールとCANバスモニターモジュールを使えば、600Vまでの電気信号4チャネルと最大120のCAN信号を同時に測定できる。また、温度など多点測定向けには、1モジュールで16チャネルの測定が可能なプラグインモジュールもある。これらのプラグインモジュールは、実験室で利用してきたDL850E/DL850EVのものと共通なため、測定器間の測定誤差を気にしなくて良いのもポイントだ。

完成車評価での利用イメージ 完成車評価での利用イメージ

 さらにDL350は、本体機能として16ビットロジック信号を測定できる機能を内蔵している。この内蔵ロジック入力で制御信号のON/OFFなどのステータスを確認しつつ、2スロットのプラグインモジュールを使って長時間の測定を行えるというわけだ。

 この他、プラグインモジュールとは別に接続できるGPSユニットを使えば、位置情報や速度情報、時刻情報と連携させての公道試験にも適用できる。

設備メンテナンス技術者向けの「メモリーレコーダモード」を用意

 次に、工場やプラントなどの設備メンテナンスについては、これまで実験室における研究開発や評価試験で使われることが多かったスコープコーダにとって新規開拓していく市場となる。

 そこで、ユーザーとして想定する設備メンテナンスの技術者にとって使いやすい製品となるような新機能を多数搭載した。まずは、新たな操作画面として、設備メンテナンスの技術者に広く利用されているハンディーロガーの操作性の「メモリーレコーダモード」を用意した。従来のオシロスコープライクな操作性の「スコープモード」とあわせて、ユーザーが選択できる。

操作画面は「メモリーレコーダモード」(左)と「スコープモード」(右)を切り替えられる 操作画面は「メモリーレコーダモード」(左)と「スコープモード」(右)を切り替えられる(クリックで拡大)

 「ウェーブウィンドウトリガ機能」を使えば、一般的なオシロスコープやデータレコーダのトリガ機能では捉えることが難しい、電源ラインのトラブルの瞬停やサグ、周波数変動などを検知できるので、電源品質の監視やトラブルシュートに最適だ。例えば、配電盤に接続して電源波形を監視しておけば、常に現波形の直前の4波形からリアルタイムに基準波形を自動生成し、異常時の現波形が基準波形の設定した許容値を超えたときに検知し、メールでの通知とデータの自動保存を行うことが可能だ。このため、作業者が常についている必要がなく、作業時間の大幅な短縮になる。保存した高速サンプリングの波形データを解析して、トラブルの原因分析などに活用することができる。

 また、工場におけるIoT(モノのインターネット)活用の代表例とされる予防保全を実現する上で、DL350で測定/記録できる高分解能・高速サンプリングの波形データは、基礎データとして大いに役立てられるはずだ。

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提供:横河計測株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年11月1日