交通事故後の「植物状態」からの回復オートモーティブメルマガ 編集後記

「これしか……」と悲観するか、「こんなに」と見るか。

» 2017年10月04日 12時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 この記事は、2017年10月4日発行の「オートモーティブ メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。


交通事故後の「植物状態」からの回復

 自動車の安全技術の進化もあり、交通事故の死者数が年々減少していることは、皆さんお聞きになったことがあると思います。

 交通事故に関連して、減らずに長年横ばいの統計があることはご存じですか。それは事故で重度の障害を負った人の数です。いわゆる「植物状態」も重度の障害の1つに数えられています。植物状態は医学的には使われない言葉で、正しくは遷延性意識障害といいます。

 JR海浜幕張駅からクルマで10分ほどのところに、交通事故が原因の遷延性意識障害の患者さんを専門に受け入れる病院「千葉療護センター」があります。患者さんの多くは歩行中や自転車乗車中に事故に遭ったとのことです。

 この病院では、特に重度で、なおかつ回復の見込みがある人を積極的に受け入れています。特に重度というのは、次のような状態を指します。自力での移動や摂食が不可能。屎尿(しにょう)失禁状態。眼球は辛うじてモノを追うことができるが認識はできない。声を出しても意味のある発言が全くできない。目を開けろ、手を握れという簡単な命令に辛うじて応じることもあるが、それ以上の意思疎通が図れない……。

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