ET2017 特集
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» 2017年11月27日 10時00分 公開

ET2017獣道レポート:知る人ぞ知るプロセッサや計測器が自己主張、でも少し気になることが…… (2/4)

[大原雄介,MONOist]

 さて話を戻すと、2010年頃はPCマーケットにも若干色気を見せていて、2010年の「ESEC」ではキーボードにVortex-86ベースのPCを組み込んだ試作品を見せてもらったりした(Photo05)が、もう現在では完全に組み込み向けになっている。

Photo05 (Photo05)これは2010年の「ESEC」での展示。確か動作周波数1GHzの「Vortex-86MX」を搭載とか言っていた記憶がある(クリックで拡大)

 昨今でいうと、もうISAバスのシステムは普通のPCマーケットでは存在しない(チップセットが対応しない)状況で、ちょっと前ならPCI⇔ISAブリッジをかませて、という話だったのが今ではPCIすらないのでPCIe⇔PCI⇔ISAという2段階ブリッジになる。ところがVortex86は標準でISAバスが出るので、こうした用途向けに現在も一定量販売されているとか。最近ではPCIもほぼレガシー化しており、さらにインテルは2020年までにBIOSからCSM(Compatibility Support Module)を排除するとかいう話をしているので、従来のFreeDOSなどは今後は利用できなくなる可能性がある。PCはそれでもいいのだろうが、組み込みではこれは死活問題であり、そうしたユーザーをターゲットに今後も長く製品を提供していきたいという話であった。

スマートスピーカー向けで開花する「xCORE」

 この2社と全く異なるラインアップを持ち込んだのが英XMOSである。XMOSという会社は、もともと1980年代に「Transputer」という独特のプロセッサを開発したDavid May氏らが創業した(Inmosそのものは1989年にSGS-Thomsonに買収された)会社である。このXMOSが提供する「xCORE」は「Logical Core」を大量に突っ込み、それぞれのLogical Coreが別のスレッドとして動くという仕組みである。“Logic”という名前の通り、これはいわば仮想コアで、物理的なコアは1つだが、これを1サイクルごとに異なるスレッドの動作をさせることが可能で、そういう意味ではSMT(Simultaneous Multi-Threading)を実装したMCUともいえる(Photo06)。

Photo06 (Photo06)このボード上の小さなチップが「32 Logical Core」の「xCORE-200」(クリックで拡大)

 XMOSは2008年に初めてのXCore製品をリリース。当初は汎用を目指していろいろなラインアップ展開とか、Armコアを載せるとか工夫していたものの、汎用向けは難しいと思ったのか、2016年あたりからAudio/Voiceに絞った製品展開に切り替えている。

 そんな同社はAVS(Amazon Voice Service)向けの開発キットなども提供しており、インフィニオン(Infineon Technologies)と組んでレーダーとマイクを組み合わせるというソリューション(Photo07)も発表している。要するにスマートスピーカー分野向けのソリューションである。会場では実際に4つのマイクを利用してのビームフォーミングで方向を検出する(Photo08)デモなども行われていた。

 汎用MCUとしては多少癖のあるxCOREだが、スマートスピーカーのマーケットの立ち上がりは同社にとって福音とも言うべきものであり、日本でも同種の製品がいろいろ出ることを想定してか、あらためて日本マーケットを狙いたい模様だ。

Photo07Photo08 (左、Photo07)インフィニオンの60GHzレーダーとXMOSの「VocalFusion 4-Mic Kit for Amazon AVS」を組み合わせた例。これにより、複数の人間が喋っているようなケース(cocktail party challenge)でもきちんと対象のユーザー音声を捉えられることを目指している。(右、Photo08)4つのマイクから捕らえた音声の位相差で方向を特定し、カメラが載ったサーボモーターを動かす、というデモ。サーボの制御までできる程度には「xCORE」の能力にはゆとりがあるとする(クリックで拡大)

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