悲願の製品出荷、印刷方式有機ELパネルがソニーの医療用モニターに採用製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2017年12月06日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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大型はパネルメーカーとアライアンス

 JOLEDの技術的な優位性は、印刷製造方式におけるプロセス技術、装置技術、材料技術、デバイス技術を一気通貫で開発している点である。これにより世界で初めてRGB印刷型での量産化に道筋をつけることに成功した。現在はジャパンディスプレイ石川工場のパイロットラインでの生産を行い「G4.5のマザーガラスを2000シート出すという程度の生産能力」(田窪氏)としているが、今後は2019年後半をめどに量産ラインを用意する方針だ。

photo 印刷型OLED量産化に必要な技術要素(クリックで拡大)出典:JOLED

 ただ、JOLEDでは、既に市場のできている小型と大型の市場ではなく、印刷型の製造方式の優位性が発揮できる中型領域(10〜40型)での展開を進めていく方針だ。大型領域については今後、アライアンスにより技術や装置の提供を行う、ライセンス型のビジネスモデルなどを検討する。

photo JOLEDの事業戦略(クリックで拡大)出典:JOLED

 大型の領域では、川幅2000mm以上のワークサイズ(G8.5マザーガラスを印刷できる規模)を実現する印刷設備の大型化を実現する原型開発を完了。これらの技術を活用して「現在パネルメーカーへの提案を進めているところだ。既に多くの話が来ている」(田窪氏)としている。装置メーカーなどについては共同開発などは進めているところもあるが、現在はパネルメーカーが協業のメインターゲットだという。

photo 大型化に向けた技術開発(クリックで拡大)出典:JOLED

 JOLEDで生産する有機ELパネルと提携先のパネルが市場で競合する可能性などもあるが「基本的にはアライアンスで提供する大型向けの技術や装置、材料と、JOLEDで今後製品展開する中型高精細領域での技術や装置、材料は同じものではない。大型を対象とするアライアンス技術では中型高精細のパネルは作ることはできない。そこで自発的な住み分けが可能だ」(田窪氏)としている。

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