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特集
» 2017年12月11日 12時00分 公開

設計開発ツール:ステアリング操作が可能なシャシーダイナモ、テストコースと実験室の間を埋める (2/2)

[長町基,MONOist]
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シャシーダイナモが移動式に

 東陽テクニカでは2015年から、スウェーデンのRototest製の操舵(そうだ)できる4輪独立制御シャシダイナモータ「パワートレーンシャシダイナモータ(PCDM)」の国内販売を行ってきた。このPCDMに、東陽テクニカが開発したステア反力発生装置や、公道データ再生装置を搭載。市街地走行の状況と車両挙動を実験室で再現するシステム「ビークル・モーション・リアナライザ(VMR)」も組み合わせた。これにより、一般車両の挙動解析から自動運転車両の性能検証評価までをカバーすることを目指す。

 従来のシャシーテスト装置は地下ピットに埋め込んだローラーの上でクルマの運転を行うもので、ステアリングを切ることができなかった。そのため、エンジン開発に必要なテストや、出力の効率の確認、モードエミッション、燃費の評価、直線だけを走る場合の評価などにとどまっているという。

 DMTSはエンジン負荷をかけながらステアリングを切ることができ、公道走行そのままを、コーナリングを含めてシャシーで再現できる特徴がある。そのため、エンジン開発だけでなく、シャシー開発でも利用可能なシステムになっている。

 装置は自動車のタイヤを外してハブにモーターを直結するタイプであり、キャスター付きのため簡単に移動させることができる。車両をラボに乗り入れて、タイヤ交換の要領でダイナモを取り付けるだけで準備が完了する。それまでは装着だけで1日から2〜3日かかることもあったセットアップが、4輪合わせても1時間程度の短時間で行える。環境試験室にダイナモを移動して走行テストを行うことも可能だ。

ハブ結合式のシャシーダイナモの仕組み(クリックして拡大) 出典:東陽テクニカ

 能力的にも低慣性なダイナモによりスキッド発進など加減速の追従性に優れている他、晴れ、雨、雪など路面状況をシミュレーションすることができ、雪道でのスリップの度合いをコントローラーが計算することも可能だ。エンジンの出力は1000馬力まで対応できるという。

コストはローラー式シャシーダイナモと同等

 今後は、さらに情報通信やEMS(電磁感受性)、セキュリティなどの同社事業の技術を生かして、実道路の環境を台上でより詳細に再現し、測定の幅を広げるシステムへと進化させていく。

 DMTSのシステムは使い方に合わせて複数のタイプをそろえた。ハイエンドタイプが3.5億円、低温環境での利用に対応し、電気自動車や燃料電池車など気温による性能の変動を測定できるタイプや静音設計のタイプが2.5億円となる。いずれも設備安全設計費と年間保守費を含む。

 従来のローラー式シャシーダイナモの価格が1〜2億円であるのに比べると設備の単価は上がるが、ローラー式の工事費も含めるとローラー式とはほぼ同程度となるという。年間5セットの販売を目指す。

ハブ結合式のシャシーダイナモの設置イメージ(クリックして拡大) 出典:東陽テクニカ

 国内のシャシーテスト装置全体の国内市場規模について、東陽テクニカでは更新と新設合わせて年間100セットと見込んでいる。シャシーテスト装置をこれまで導入していたのは自動車メーカーなどのエンジン開発部門だったが、今後は車体の開発の部門からの需要を取り込みたい考えだ。

 さらに、自動車メーカー傘下の試験を専門とする会社への新規導入も目指す。中国や米国でのビジネス展開も計画しており、2020年に100億円規模を目指す売り上げ目標に対し、半分の50億円以上をDMTSで稼ぎ出す計画だ。

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