スマートウォッチの差別化は薬事法・FDA対応に、手首式血圧計を2018年発売医療機器ニュース

オムロン ヘルスケアは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」において、手首で測定するスマートウォッチ型の血圧計を出展する。

» 2018年01月09日 16時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
スマートウォッチ型の手首式血圧計を出展。測定のため手首を心臓の高さにあげている様子(クリックして拡大)

 スマートウォッチに医療機器の精度を――。オムロン ヘルスケアは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」(2018年1月9〜1月12日、米国ネバダ州ラスベガス)において、手首で測定するスマートウォッチ型の血圧計を出展する。米国では2018年中に食品医薬品局(FDA)の認可を取得する。日本では2018年度中の発売を目標に開発を進めている。

 従来の手首式血圧計は腕帯に一定以上の幅が必要だったが、開発品は腕時計とそん色ない幅のベルトでも血圧を測定可能とした。従来の血圧計と同じで、圧迫して血圧を測定する仕組みを採用している。また、これまでスマートウォッチやウェアラブル機器での血圧測定機能は精度に課題があったが、開発品は医療機器に要求される精度を満たすことにより、スマートフォンの専用アプリで記録した血圧の情報を医師の診断や指導にも使うことができる。

スマートウォッチのベルトの内側に特色があるという(左)。測定した画面(中央)。スマートフォンの専用アプリで血圧を記録できる(右)(クリックして拡大)

 先進国では共通して、高血圧に起因する脳梗塞や心筋梗塞が死因の上位を占めている。また、高血圧と診断を受けても何もしない人が過半数を占める国も多い。上腕式血圧計での定期的な測定に加えて、開発品で仕事中などにも血圧を計ることにより、病院の診断などで見落とされやすい“隠れ高血圧”を発見できるようにする。

 開発品は、睡眠時間や歩いた距離、脈拍などを記録する活動量計としての機能の他、スマートフォンに届いたメールや着信を通知する機能も持つ。オムロン ヘルスケアの説明員は「オムロンはスマートウォッチのメーカーになりたいわけではない。あくまで医療機器として開発している。ただ、快適に身につけてもらうにはスマートウォッチに歩み寄る必要があった」と説明した。

 スマートウォッチを手掛けるメーカーも健康管理に必要な数値の測定に力を入れているが、「上腕式をはじめ、医療機器としての精度を満たしてきた実績や、100カ国以上で認可を受けてきたわれわれのノウハウは競争力になるだろう」(オムロン ヘルスケアの説明員)。

スマートウォッチや活動量計としての機能も持たせた(クリックして拡大)

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