サービス産業の現場での「おもてなし」スキルを標準・体系化製造マネジメントニュース

経済産業省は、サービス品質の見える化や高付加価値化に向けて、サービス産業に携わる現場人材のスキルを標準化、体系化した「おもてなしスキルスタンダード」を策定した。

» 2018年01月17日 09時00分 公開
[MONOist]

 経済産業省は2017年12月27日、サービス品質の見える化や高付加価値化に向けて、サービス産業に携わる現場人材のスキルを標準化、体系化した「おもてなしスキルスタンダード」を策定したと発表した。

 今回の策定は、サービス産業における次世代の経営人材の育成を目指す、同省の「中小企業、小規模事業者人材対策事業(カイゼン指導者育成事業)」によるものだ。

 策定に当たり、必要とされる4つの視点として「顧客」「同僚、チーム、仲間等」「地域社会」「継続、向上」を挙げる。これらの視点を踏まえて、客の期待を元に、現場の仲間などが力を引き出し合い、地域社会と共生しながら向上し続けていくという、実行プロセスを示す理念をまとめている。

 その理念を踏まえ、サービス産業の現場人材に横断的に求められるスキルなどを「マインドセット」「接客接遇スキル」「業務オペレーションスキル」「ユニバーサル・ダイバーシティスキル」「仕組みづくり」というそれぞれの観点から、ベーシックとアドバンスの2段階の到達度に分けてリストアップしている。

 例えば「マインドセット」の「おもてなしマインド」では、到達度のベーシックが「日本のおもてなしの背景を知り、ホスピタリティやしつらえなどを含む、おもてなしの概念について理解している」とされ、アドバンスではそれに加えて、「自らの業務に関連付けて顧客へのアクションとして体現することができる」となっている。

 また「ユニバーサル・ダイバーシティスキル」の「ダイバーシティスキル」では、アドバンスの到達度を「出身国や属する文化により考え方や行動が異なることを認識する。来日数の多い国、文化の特性を知る。あいさつや簡単な案内など接客外国語の基本を知ったうえで、状況に応じて適切に対処できる」としている。

 AI(人工知能)やロボットによって多くの雇用が代替されていく可能性が指摘されるなか、同省では、サービス産業において特に高付加価値市場の創出が必要であるとする。今回の策定により、スキル向上や新たなスキルの獲得を通じ、非定型で高付加価値型のサービスを提供できる人材の育成を目指す。

 2018年1月から3月にかけて、おもてなしスキルスタンダードの項目を満たす人材育成プログラムが実施される。また今後、到達度に応じて、各種検定や人材育成プログラムへ反映させるなど、現場で活用する上でより実用性の高い仕組みにしていく。

photo おもてなしスキルスタンダードの4つの理念 出典:経済産業省

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