「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
特集
» 2018年02月05日 07時00分 公開

コネクテッドカーに「完成」はない――ベクターコンサルティング特集「Connect 2018」(2/3 ページ)

[齊藤由希,MONOist]

サービス指向の中でサプライヤーは何が求められているのか

MONOist サービス指向のサービスとは、クルマの何が該当しますか。

エバート氏 誰に向けたものかによってさまざまある。例えば、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)は自動車メーカーのためのものだ。ユーザー向けには、週末だけ追加料金を払って、平日とは違うスポーティーな走りを楽しむことなどがある。誰から見たサービスなのかによってさまざまな内容が出てくるが、起動や認証、料金の徴収などサービスの基本的なインフラの部分は、ユーザー向けでも自動車メーカー向けでも、共通であるべきだ。考え方は通信業界が30年前からやっていたものと変わらない。

MONOist 新しいアーキテクチャでなければそういったサービスの実現は難しいのでしょうか。

エバート氏 それはとても難しい。サービス指向アーキテクチャに移行するために、ECUそのもののアーキテクチャを変える必要がある。具体的には、1つ目がセンサーやアクチュエータなど複雑でないもの。その上の2つ目が高性能なECUで、冗長性も担保する部分となる。1番上の3つ目がサービス層で、クラウドなど車外と接続するような役割を担う。トヨタ自動車やDaimler(ダイムラー)、BMWのような大手自動車メーカーは、既にこうした3層のアーキテクチャの青写真を描いている。

MONOist 一気に新しいアーキテクチャに変えることは必須ですか。

エバート氏 それを少しずつやろう、というのがAUTOSAR Adaptive Platformだ。現時点でクルマとクラウドをつなげるシステムはクルマに搭載されているので、サービスの層はそろっているといえる。

 AUTOSAR Adaptive Platformは上位にあるサービス層を分離し、下位のECUとの間で必要なやりとりを変換して伝える役割がある。ECUの層も柔軟性を持ちつつあるが、1番下位のセンサーの層はあまり変わっていないのが現状だ。サービス層からトップダウンで進化していくことになるが、大きな変化が求められる。冗長性を確保するには核心の部分から変えなければならない。新しいアーキテクチャに替えるのは、信頼性の高いアーキテクチャが要求される自動運転システムと同じタイミングになる。

MONOist そうした変化にサプライヤーはどのように備えるべきですか。

エバート氏 新しい技術やプロセスは、当事者が最初から関わって作り上げる構図になった。ティア1サプライヤーも大手自動車メーカーの青写真作りに参加している。サプライヤーは部品単位ではなく、サービスに向けてサブシステムを提案する必要がある。また、大手の自動車メーカーは、ティア1サプライヤーだけでなく半導体メーカーなども巻き込んで作業を進めている。

MONOist そこに参加できていないサプライヤーはどうするべきでしょうか。

エバート氏 自動車メーカーの依頼でサプライヤーの評価も行うことがあるが、技術やプロセス、ノウハウの差は大きい。上位層のサプライヤーは自動車メーカーと直接やりとりし始めており、利益を確保しやすい場所にいる。反対に、現時点で仕様書もらうだけの立ち位置にいるサプライヤーは、低コスト化のプレッシャーと戦う必要があり、自動車メーカーと直接関わる立場まで上がるのもこれまで以上に難しくなるだろう。

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