特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

変化に柔軟に対応するロボット実現へ、三菱電機が「器用に制御するAI」開発人工知能ニュース(1/2 ページ)

三菱電機は状況の変化を把握してリアルタイムに対応できる「器用に制御するAI」を開発した。産業用ロボットなどに搭載することを想定している。

» 2018年02月09日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 三菱電機は2018年2月8日、対象物の状況の変化を瞬時に把握してリアルタイムに対応できる「器用に制御できるAI」を開発したと発表した。産業用ロボットに搭載し、AGV(無人搬送車)に載せて移動しながら生産作業を行うなど、常に環境変化が発生する製造現場での活用を想定する。

photo 産業用ロボットなどへの搭載を想定する「器用に制御できるAI」(クリックで拡大)

エッジや機器に搭載するAIを開発

 三菱電機では2017年5月に独自のAI技術ブランド「Maisart」を発表。特に同社製品の強みが生きるエッジ領域や機器領域に搭載できるAI技術の開発を推進してきている。三菱電機 情報技術総合研究所 所長の中川路哲男氏は「機器やエッジをスマート化するAI技術の開発に特に重点的に取り組んでいる。その中で共通の特徴となっているのがアルゴリズムのコンパクト化や機器のノウハウと組み合わせた技術開発だ」と同社のAI技術の強みについて述べている(※)

※)関連記事:「コンパクトな人工知能」実現へ、組み込み機器でディープラーニング

photo 三菱電機のIoTにおける開発戦略(クリックで拡大)出典:三菱電機

 今回新たに開発したAI技術は、製造現場の機器などに搭載しリアルタイム制御を実現することを想定したものだ。対象物の状況を複数のセンサーによりデータとして取得し、ディープラーニングの結果を用いた推論を常時繰り返すことで状況の変化をリアルタイムに把握するとともに、ディープラーニングと機器の知見を組み合わせ、3.5msごとのリアルタイム制御を実現するというものである。

 状況の変化に対する追随も、2017年5月に発表した「スマートに学習できるAI」(※)により、短い学習期間によってアルゴリズムを設定できる他、深層強化学習により最適な制御アルゴリズムを自動で獲得できるとしている。

(※)関連記事:AIを賢く学習させる手法、教育時間を50分の1に

photo 「器用に制御できるAI」の開発ポイント(クリックで拡大)出典:三菱電機
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