AIが導入されても自分のスキル、技術では対応できない――67%が回答キャリアニュース(1/2 ページ)

日本労働組合総連合会が「AIが職場にもたらす影響に関する調査」の結果を発表した。AIが導入された場合、現在の自分のスキル、技術で対応できると思うかを尋ねた質問では、67.3%が「できないと思う」と回答した。

» 2018年03月01日 09時00分 公開
[MONOist]

 日本労働組合総連合会は2018年2月16日、「AI(人工知能)が職場にもたらす影響に関する調査」の結果を発表した。同調査は全国の20歳以上の働く男女1000人を対象とした。

 まず、AIとはどのようなものか知っているかを尋ねたところ、全体の31.5%が「意味をよく知っている」と回答した。「言葉自体は聞いたことがある」は57.8%となり、この2つを合わせると認知度は89.3%に達した。「意味をよく知っている」と回答した人を男女別に見ると、男性は40.8%、女性は19.6%だった。

photo 出典:日本労働組合総連合会

 次に、AIと聞いてどのようなイメージを持つかを尋ねた。その結果「記憶力や情報量が多い」(76.8%)が最も多かった。続いて「ミスが少なく正確な判断ができる」(67.5%)、「複数の事象を把握・対応ができる」(64.2%)、「経験にもとづいた対応ができる」(61.4%)となった。記憶力や正確性、マルチタスク能力などに優れているイメージを持っている人が多いようだ。

photo (クリックで拡大) 出典:日本労働組合総連合会

 今後のAIの普及について、期待しているか、不安であるかを尋ねた質問では、「期待している」(「大いに期待している」「やや期待している」の合計)が54.5%だった。業種別では「期待している」は「金融・保険業」(70.6%)が最も高かった。他に「製造業」(64.7%)、「公務など」(62.3%)、「教育・学習支援業」(62.0%)も期待度が高く、6割を超えている。

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 続いて、今後、自分の職場でAIの導入や活用が進んだ場合、自分の仕事が変わっていくと思うかを尋ねたところ、65.6%が「変わる」(「かなり変わる」「やや変わる」の合計)と回答。3人に2人が、AIによって自分の仕事が変わると考えているようだ。「変わる」と回答した人を業種別に見ると、「情報通信業」(74.6%)、「医療・福祉」(73.8%)、「製造業」(73.5%)、「飲食店・宿泊業」(73.5%)、「公務など」(71.2%)で7割を超えた。

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 これをAIの認知状況別に見ると、AIの意味をよく知っている人のうち77.4%が「変わる」と予想。AIをまったく知らない人は70.1%が「変わらない」と予想しており、認知状況によって予想が異なることが分かった。

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 次に、今後、職場でAIの活用が進んだ場合、仕事における自分の身体的、精神的負担はどうなると思うかを尋ねた。その結果「楽になる」(「かなり楽になる」「やや楽になる」の合計)が43.5%、「変わらない」は49.5%となった。「楽になる」と予想した人を業種別に見ると、「情報通信業」(54.0%)と「飲食店・宿泊業」(50.0%)が5割以上となった。

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 AI認知状況別に見ると、AIの意味をよく知っている人は56.5%が「楽になる」と予想した。一方、AIをまったく知らない人は21.5%が「負担が増える」と予想。認知状況により、仕事上の負担に対する予想も異なる結果となった。

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 さらに、今後、職場でAIの活用が進んだ場合、自分の仕事のやり方や難易度はどうなると思うかという質問に対しては、60.7%が「変わらない」と回答。「難しくなる」(「かなり難しくなる」「やや難しくなる」の合計)は23.3%だった。「難しくなる」と回答した人を業種別に見ると、他の業種より「公務など」(37.7%)と「建設業」(35.3%)が高くなっている。

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 職場でAIの活用が進んだ結果、自分の労働時間はどうなると思うかを尋ねたところ、「変わらない」が最も多く62.3%を占めた。業種別に見ると「増える」と予想した人より「減る」と予想した人が全ての業種で多くなっている。「運輸業」(36.6%)、「金融・保険業」(32.4%)では、「減る」と回答した人が3人に1人の割合となった。

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 AIの活用が進んだ場合の、職場で働く人数の変化については、「変わらない」(53.2%)が最も多かった。「減る」(「かなり減る」「やや減る」の合計)は39.0%。業種別では「公務など」(60.0%)と「金融・保険業」(52.9%)で「減る」の割合が高くなっている。

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 AIの活用が進んだ結果、自分の賃金はどうなると思うかについても尋ねた。その結果、「変わらない」が最も多く66.7%を占めた。「減る」と予想した人の割合を業種別に見ると、「建設業」(33.3%)と「教育・学習支援業」(31.0%)が他の業種よりも高くなっている。

photo 出典:日本労働組合総連合会

 職務別では、管理的業務のみ「増える」(20.7%)が「減る」(19.6%)を上回った。

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