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» 2018年04月06日 10時00分 公開

AUTOSARを使いこなす(2):AUTOSARを「使いこなす」ということを考えてみる(前編) (2/3)

[櫻井剛,MONOist]

問2:まさか、「追い付くこと」だけで終わりではないですよね?

 さて、「終わり」のない、後者のタイプの目標に関して、「変化そのものへの追従の仕方の洗練」と書きました。またうっかり、今度は受動的な意味合いが強い「追従」という言葉を使ってしまっています。

 さて、変化は誰が起こすのでしょうか。「自分以外だ」と、自嘲気味に筆者に向かっておっしゃった方のお顔はすぐに思い浮かびます。また、今、この文章を読んでいて同じことをお考えになった方もいらっしゃるかもしれません。

 ところが、自分のユースケースがまだAUTOSARでは対応されていなかったり、使いにくかったりするのであれば、暫定的な対応は行いつつも、AUTOSARを変えることは可能なのです※1)。あまりでしゃばらない、あるいは、先頭を走ることを避ける、という傾向が強ければ、「誰かが変化させ続けるものに対して、追従する」あるいは「誰かが変化させてくれるのを待ち、それから追従を考える」という方向に進んでしまいがちなのかもしれません。しかし、「自ら意思を持って変化させる」ということも現実の選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

※1)AUTOSARには幾つかの会員種別があります。Core PartnerやPremium Partner、Development Partner、Attendeeであれば、自ら変更の提案を行うこともできます。一方、Associate Partnerは直接提案を行うことはできませんが、BSWやツール製品などのベンダーに要望することにより、間接的に何らかの形で反映されることもあります。

 また、先述の固定的な課題達成型の目標に再び目を向けてみますと、追い付くという意味での「キャッチアップ」という言葉が見え隠れすることもしばしばあります。しかし、「追い付く」「キャッチアップ」という類いの言葉からは、AUTOSARを「変化させる」という発想を導き出すことは容易ではなさそうに見えます。

 もちろん、やみくもに変化させるだけでは意味がありません。そのためには、何らかの意図が必要になります。そして、これまで繰り返し述べてきた問いに戻ります。

「AUTOSARに対する期待は何か?」

 しかし、この問いに対して答えを見いだしたという方には、残念ながら、なかなかお目にかかれていません。議論に参加する機会をいただいたこともありますが、残念ながら、尻すぼみで終わってしまうことがほとんどでした。失敗の連続ではあるのですが、この問いは極めて重要ですから、辛抱強く続けるしかないと考えています。

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